再生医療の新専門委設置に議論停滞の懸念も- ヒト幹指針見直し専門委 この記事をスクラップブックに貼る 再生医療の安全性を確保するための仕組みを検討する専門委員会を新たに設置する厚生労働省の方針について、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」が12日に開いた会合で、委員からは議論の停滞などを懸念する声が続出した。ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会(12日、厚労省) 「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の見直しを議題とする専門委はこの日までに、ヒトのES細胞やiPS細胞、体性幹細胞の医学・生物学的安全性について、それぞれ専門家を招いてヒアリングを実施。来月から、細胞の提供を依頼する際のインフォームド・コンセントや、提供された細胞の管理の在り方をめぐり議論し、指針の改正案を年度内に示すことになっている。 一方、新設される「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」の検討課題は、「医療として提供される再生医療について、薬事法等関係法規と同等の安全性を十分確保しつつ、実用化が進むような仕組み」。今月26日に議論をスタートし、来年夏ころに結論を得る予定だ。この日の会合で厚労省の担当者は、「基本的には、(新専門委で)再生医療の大きな横断的な枠組みを検討する。2つの専門委員会は(車の)両輪。不定期に情報交換して進めていきたい」と述べた。これに対し、高坂新一委員(国立精神・神経医療研究センター神経研究所長)は、「二階建てにすることで、(指針改正の)スピード感が失われるとまずい」として、両専門委の役割を明確にするよう求めた。 町野朔委員(上智大生命倫理研究所教授)は、新しい専門委が検討する安全性確保の仕組みが「薬事法等関係法規と同等」のものと表記されている点を問題視。これについて厚労省の担当者は、必ずしも法制化を検討せず、指針などによる運用もあり得るとした。また、中畑龍俊委員(京大iPS細胞研究所副所長)は、自らが委員を務める医薬品医療機器総合機構(PMDA)の専門部会で、再生医療の審査などに関する議論が月内にも始まることを明らかにし、3つ場での検討の方向にずれが生じないよう、こまめに情報を共有すべきだと強調した。【佐藤貴彦】
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