台湾2012年10月3日(水曜日)バイオベンチャーのナノキャリア(千葉県柏市)は1日、膵臓(すいぞう)がん治療の新薬「NC-6004ナノプラチン」の製造権を付与するライセンス契約に向けた覚書を、台湾の製薬大手、友華生技医薬(OEP)と締結した。日本の製薬会社などがアジアで新薬の開発をするのは珍しいという。【井上雄介】ナノキャリアは2008年、日本、中国、インドを除くアジア地域を対象とした同医薬品の開発・販売権を与えるライセンス契約を友華生技と結んでいる。近く、全世界を対象とした非独占製造権を加えた新たなライセンス契約に替える。今後、アジア地域におけるNC-6004ナノプラチンの開発に関し、友華が主体となり、ナノキャリアは共同開発の立場で協力する。開発費用は友華が負担する。友華生技は、製造権のライセンス契約に伴い、子会社を設立して工場を建設する予定。ナノキャリアは将来、製造子会社への出資も検討している。友華生技は、非独占製造権に対する対価として計8億円のマイルストーンペイメント(医薬品発明企業への支払金)のほか、販売数量に従いロイヤルティーを支払う。ナノキャリアは製造に必要な原料を供給し、友華生技は対価を払う。ナノキャリアの中冨一郎社長によると、NC-6004ナノプラチンは、現在、世界ですい臓がんの治療に広く使われているシスプラチンに比べ腎臓などへの副作用が少なく、「血中有効濃度」の持続時間も15分から72時間に飛躍的に伸びるなど優れた特性を持つ。友華生技は台湾とシンガポールで第2相試験(フェーズ2)を進行中で、今年中に終わる予定。新薬の開発と臨床試験は欧米など先進国で実施するのが一般的で、中冨社長は「台湾を含め、アジアで新薬の開発と臨床試験が行われるのは極めてまれ」と話している。
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