血液検査で脳梗塞を予測も心房細動は、心房が細かく動き、脈拍がバラバラになる不整脈の一種で、放っておくと脳梗塞や心不全、認知症などの重大な病気を引き起こす恐れがある。もし、そうしたリスクが事前に予測できれば、いくつかの予防策を講じることができる。このほど、金沢大学大学院医学系研究科循環器病態内科学の山岸正和教授らが、血液検査で測定した血中BNP 値が高い心房細動患者は、脳梗塞を発症するリスクが高いことを発見した。詳細は、3月1日の日本循環器学会学術誌「Circulation Journal」(オンライン版)に掲載されている。心房細動患者ではBNP値170pg/mL以上が脳梗塞の発症リスクに 現在、日本には140~150万人の心房細動患者がいるとされている。高齢者に多く、70歳代の6%が心房細動との報告もある。心房細動の患者が脳梗塞を発症すると、半数以上が死亡、寝たきり、要介護となるため、その発症予防は極めて重要だ。研究グループは、心房細動患者1,013人(平均72.8歳)について、年齢や生活習慣、持病、治療状況などの情報を登録。その後、1年ごとに脳梗塞や脳出血などのイベント発症状況や治療の変化などを評価している。そして今回、追跡開始2年目のデータから、登録時のBNP値が170pg/mL以上と高い患者では、脳梗塞などの血栓塞栓症を発症する確率が明らかに高くなることを突き止めた。BNPは、心臓の機能が低下するほど数値が高くなるホルモンで、よく用いられている正常値は18.4pg/mL以下だ。測定は、血液検査で簡単に行える。研究グループは、今回の発見を踏まえ「BNP値は、心房細動の重症度を評価する際の新しい目安となる。また、心房細動患者における脳梗塞の発症を予測し、予防するための指標にもなる」とコメント。さらに「今後、BNP値が心房細動の診断や治療に関するガイドラインに加わる可能性もある」と期待を寄せた。
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