緑内障の原因解明へ前進!iPS細胞から高純度な網膜神経節細胞を作製理研ら 2018年3月30日【こちらも】iPS細胞から作った心筋シートの心臓病治療、大阪大学が承認研究グループによると、網膜神経節細胞はこれまで、動物をモデルにして代替研究する以外に困難であったヒト網膜神経節細胞研究の発展に大きく貢献できるものだという。網膜神経節細胞は網膜の内側に存在しており、その神経突起は束になり視神経となって、眼から脳へ情報を伝える重要な働きをしている。この視神経に障害が起こると、本来ならありえないようなモノの見え方が起こる。その代表的なものが緑内障である。厚生労働省の発表によれば、日本人の失明原因の第1位を占めている、恐ろしい病気である。日本緑内障学会で行った大規模な調査では、40歳以上の日本人における緑内障の有病率は5.0%であった。つまり、40歳以上の日本人、20人に1人は緑内障の患者ということである。しかも、緑内障と診断された90%の人たちが自覚症状のないまま過ごしてきたという結果も出ている。年齢とともに増加傾向となることも判っているため、治療法が急がれる病気の一つである。そんな緑内障に代表される視神経障害の病気の状態を調べるには、実際に障害となっている組織を採取して解析することが最も有用な方法である。しかし、ヒトの眼の神経細胞は規則的に配列された精巧な組織のため、採取すること自体で神経障害を引き起こしてしまうのである。研究グループは、ヒトの網膜神経節細胞を研究するためにiPS細胞由来立体網膜組織を作製し、その組織から網膜神経節細胞を単離精製に成功した。さらに、成熟の進行した立体網膜組織から単離した網膜神経節細胞は、未成熟な網膜神経節細胞に比べて、神経突起を長く伸長する事も判明したという。今回の研究は、新規神経保護薬のスクリーニング(選別)や網膜神経節細胞移植等の新規治療法の開発にも貢献する可能性が期待できることを、東北福祉大学のホームページにも掲載している。
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