横山勇生=編集委員切除不能胃癌の3次治療以降にトリフルリジン・チピラシル塩酸塩(TAS-102)を投与した場合、プラセボと比べ死亡のリスクが31%低減できることが明らかとなった。切除不能胃癌の3次治療以降を対象に、TAS-102+支持療法を行った群とプラセボ+支持療法を行った群を比較した多施設無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験、TAGSの結果から示されたもの。6月20日から23日までスペイン・バルセロナで開催されているESMO 20th World Congress on Gastrointestinal Cancer(WCGC2018)で、スペインVall d'Hebron Univerity Hospital and Vall d'Hebron Institute of OncologyのJosep Tabernero氏によって発表された。TAGS試験は、前治療歴数が2以上(フルオロピリミジン、白金系抗癌剤、タキサン、イリノテカン、HER2陽性の場合HER2阻害薬)でECOG PSが0または1の進行・再発胃癌を、TAS-102投与(28日間を1サイクルとして1日目から5日目、8日目から12日目まで1日2回35mg/m2)に加えて支持療法を行う群(TAS-102群)と、プラセボ投与と支持療法を行う群(プラセボ群)に患者を無作為に2対1に割り付けて行われた。患者はECOG PS(0と1)、地域(日本とその他の地域、ラムシルマブ治療歴(ありとなし)で層別化されていた。投薬は増悪、受容不能な副作用の発現、患者の同意の撤回のいずれかが起こるまで行われた。主要評価項目は全生存期間(OS)。鍵となる副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)と安全性で、その他の副次評価項目は、奏効率、疾患制御率、QOL、PSが2以上になるまでの時間だった。2016年2月から2018年1月まで、18カ国110施設で患者登録が行われた。データカットオフは2018年3月31日。TAS-102群には337人が登録され、335人で投与が行われた。プラセボ群には170人が登録され、168人が投与を受けた。データカットオフ時点で、投与が継続されていたのは、TAS-102群が19人(6%)、プラセボ群が3人(2%)で、多くの患者が増悪のために投与終了となっていた。TAS-102群とプラセボ群の患者背景に差はなかった。TAS-102群の年齢中央値は64.0歳(24-89)、男性が75%、地域が日本だったのが14%、PS 0が36%、胃切除が行われていたのが44%、前治療歴数2が37%、3が40%、4以上が23%、転移巣数3以上が54%、HER2陽性が20%だった。プラセボ群の年齢中央値は62.5歳(32-82)、男性が69%、地域が日本だったのが16%、PS 0が40%、胃切除が行われていたのが44%、前治療歴数2が38%、3が35%、4以上が27%、転移巣数3以上が58%、HER2陽性が16%だった。試験の結果、OS中央値はTAS-102群が5.7カ月、プラセボ群が3.6カ月で、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.56-0.85)、片側層別化p=0.0003で有意にTAS-102群で長かった。12カ月OS率はTAS-102群が21%、プラセボ群が13%だった。PFS中央値はTAS-102群が2.0カ月、プラセボ群が1.8カ月で、ハザード比0.57(95%信頼区間:0.47-0.70)、両側層別化p<0.0001で有意にTAS-102群で長かった。6カ月PFS率はTAS-102群が15%、プラセボ群が6%だった。TAS-102群で多く認められた非血液学的な副作用は、下痢だった。血液学的な毒性はTAS-102群で多く発現し、グレード3以上の発熱性好中球減少症がTAS-102群の6例(2%)で認められた。
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