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Thursday, July 12, 2018

厚労省・医薬品情報提供GL案社内の「販売情報提供活動監督部門」でMR活動適正化経営陣の責務も明記


( エーブィエ バイオファーム ) 2018/07/11厚生労働省が検討している「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」案の概要が7月10日、本誌取材で明らかになった。ガイドライン案では、社内に「販売情報提供活動監督部門」の設置を求めた。同部門は資材審査に加え、MRMSLの情報提供活動をモニタリングし、情報提供の適切性を社内で確認する。製薬企業の経営陣については、「自社のあらゆる従業員の販売情報提供活動に関する業務上の行動に対して責任を負う」ことも明記した。さらに、過度な売上目標の設定に伴うインセンティブ(評価・報酬)の是正などを求めた。社内体制の整備と経営陣の責任明確化を通じ、製薬企業のガバナンスを強化し、自律を求める。不適切事例に対し、組織的に歯止めをかけることで、医薬品の適正使用を推進する狙いがある。早ければ今週中にもガイドライン案を公表し、パブリックコメントを募る方針。販売情報提供活動をめぐっては、MRによる口頭説明や、モバイルパソコンの映像のみ使用した説明など、証拠が残りにくい、いわゆる"クローズドな場"での不適切な情報提供事例が明るみになってきた。ディオバン事件やCASE-J事案などの臨床研究不正などを通じ、明確な虚偽・誇大には至らないものの不適切使用を助長する行為や、研究論文などで企業側の関与が判断しにくい行為も指摘されてきた。同省はこうした現行の法規制の網をすり抜ける不適切行為を問題視し、ガイドラインの策定に踏み切った。ガイドライン案では、社内体制の整備を通じて個々の企業のガバナンスを強化するとともに、日本製薬工業協会(製薬協)など関連団体にガイドライン遵守に向けた取り組みを義務付ける。これにより、業界全体として自浄作用を高める枠組み構築を視野に入れる。社内体制整備の核となるのが、資材の事前承認やMRMSLへの定期的なモニタリング・監督指導などを実施する「販売情報提供活動監督部門」の設置だ。この部門が適切に稼働するために、独立性を有する人が含まれる「審査・監督委員会」を設置し、外部の視点を取り入れた助言を求める。さらに、医師、薬剤師など医薬関係者が不適切事例を寄せる「苦情窓口」を設置し、苦情があった場合には販売情報提供活動監督部門が迅速に調査し、必要な措置を講じる。経営陣には体制整備の責務を求めた。ただし、「販売情報提供活動部門に権限を付与することをもって、販売情報提供活動に関して経営陣が責任を免れるものではない」ことも明記する。さらに、役員や従業員への評価・報酬に「適切な販売情報活動を行ったかどうか及び行わせたかどうかを適切に反映する」ことも明記した。これまで過度な売上目標の設定などが不適切事案につながることも指摘されていたが、メスを入れる格好だ。

製薬協など関連団体ガイドラインベースの規約作成へ 製薬協など関連団体には、「行政の対応を待つことなく」、会員企業の状況を把握する仕組みを構築するほか、会員企業に必要な指導・助言を行い、問題事例の発生を未然に防ぐことを求めた。ガイドラインをベースとした規約を別途作成するとし、その内容は「更なる自主的な取組に関する事項を含み、かつ、遵守すべき事項を具体化したものである」ことも明記する。

能動的・受動的問わずMRだけでなくMSL含む「全て」に適用 販売提供活動についてガイドライン案では、「能動的・受動的を問わず、医薬品製造販売業者が特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安全性の認知の向上等により、その販売促進を期待して当該医療用医薬品に関する情報提供し又は伝達すること」と定義づける。①効能・効果、用法用量が承認内である、②有効性だけでなく副作用を含む安全性を提供し、恣意的な選択をしない、③提供する情報は、科学的・客観的な根拠に基づく、④資材に引用される情報は引用元が明記されたものであるなどを原則とした。資材に引用される社外の調査研究については、引用元の調査、研究の実施、論文の作成について製薬企業から「物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的な内容を明記」することを求めた。対象範囲は、いわゆるMR活動だけではなく、メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)など「医薬品製造販売業者等が雇用する者等の全ての者に対して適用される」。「販売情報提供活動の担当部門とは切り離された部署に所属している」などにかかわらないことも明記される。提供する情報については、いわゆる製品情報だけでなく、医療従事者や患者への疾患啓発なども含むほか、口頭説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるものなど媒体を問わないこととされている。

未承認・適応外は「求めがあった場合」に提供可能記録の作成・保管など求める 未承認薬・適応外薬の情報提供については、医療者や国民、患者団体などから「求めがあった場合」に限り、提供できることも明記した。ただし、▽通常の販売情報提供活動とは切り分ける、▽情報提供は要求内容に限定し、提供先も要求者に限定する、▽医療関係者・患者などから情報提供を求められたかのように装わない、▽科学的・客観的かつ正確でなければならない。要約、省略、強調などを行わない、▽製薬企業の関与する試験研究に基づく論文である場合は臨床研究法などで適切に管理されている、▽副作用の危険性が高まること、臨床試験で有意差が示されなかったなどの不利な情報も提供する、▽効能・効果、用法・用量などが承認を受けていないことを明確に伝える、▽経緯、提供先、提供内容などについて記録を作成し、保管する――ことを求めた。

「本来の責務は何か」を判断基準に このほか、ガイドライン案では、「本ガイドラインで求められていないこと(禁じられていないこと)であれば自由に行ってもよいとの誤った認識を持つことなく、医薬品製造販売業者等に求められる本来の責務とは何かという原点を判断の基軸として自ら厳しく律した上で、販売情報提供活動を行う」ことも明記される。


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