北陸の経済ニュース 【7月14日03時14分更新】 抗がん剤市場を開拓富山の後発薬メーカー富山県の後発医薬品メーカーが、抗がん剤事業の強化に動いている。日医工(富山市) は販売品目を拡大し、2015年度には売上高を現在の2・5倍まで引き上げる。富士製薬工業(東京)が来春から富山市の工場で生産に乗り出すほか、ダイト(富山市)も11 月には台湾メーカーで委託生産し日本市場に投入する。高価な抗がん剤では、後発品の普 及で価格の引き下げも期待されており、各社が市場開拓を急ぐ。「薬価の高い抗がん剤は患者や国の医療費負担が大きい。こういう薬剤こそ、ジェネリ ックでやるべきだ」。日医工の担当者はこう強調する。同社は現在、7品目を扱っているが、今期は乳がん治療薬の後発品など3品目の発売を 計画。15年度には25品目まで増やす予定だ。抗がん剤事業の売上高は現行の20億円 から50億円まで引き上げることを目指す。富山市に生産拠点を持つ富士製薬工業では32億円をかけて増強する同市の注射剤工場 に抗がん剤の生産ラインを設ける。今井博文社長は「完成後は毎年、数種類ずつ抗がん剤 を発売していくつもりだ」と事業強化に意欲を示す。また、大きな売り上げが見込める前立腺がん治療薬の後発品開発も進めている。自社生 産か、海外メーカーからの製剤輸入を検討しているという。各社が抗がん剤に力を入れる背景には、新薬メーカー側が開発を従来の生活習慣病から がん分野へシフトしていることがある。高血圧、糖尿病などの生活習慣病は治療が充実し、画期的な新薬が出にくい状況にある 。一方、治療満足度の低いがんは今後、新薬の開発が進み、特許切れ後に出る後発薬にと っても将来的な市場の伸びが期待できるという。ただ、参入には課題もある。抗がん剤製造には特殊な設備が必要で、強い毒性を持つた めほかの医薬品と厳密に区分して生産することも求められる。このため、ダイト(富山市)は台湾のメーカーに生産を委託し、輸入した製品の包装を 自社で手掛ける手法を取ることにした。近く国内での承認が下りる見込みで、11月にも 販売会社を通じ日本で販売する計画だ。
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