2018年06月20日参院内閣、農林水産両委員会は19日、連合審査会を開き、米国を除く環太平洋連携協定参加国による新協定(TPP11)の関連法案を審議した。野党側からは、農産物への影響試算を巡り、カナダ政府が公表している牛・豚肉の輸出拡大の見通しと、日本政府の試算との整合性を問いただす声が相次いだ。政府側は試算の前提が不明として言及や比較を避けた。日本政府はTPP11で、農林水産物の生産額が約900億~1500億円減ると試算。畜産物では牛肉で最大約399億円、豚肉で最大248億円の減少を見込む。一方のカナダ政府は、豚肉の対日輸出は約530億円増えるとの試算を公表。牛肉も約310億円増を見込み、米国不在でセーフガード(緊急輸入制限措置)が発動しにくいことを指摘し、元の協定よりも利益が大きいと強調している。共産党の紙智子氏ら野党からは、こうした試算の違いを指摘し、日本の試算の妥当性を疑問視する意見が相次いだ。茂木敏充TPP担当相はカナダの試算について「価格がどう変化するかなどの前提を全く置かずに数字が出てくるものだ」との認識を示し、前提条件が不明な中で、日本の試算とは比較できないことを強調した。米国の復帰が見込まれない場合、協定の運用を見直す規定を巡っても質問が相次いだ。立憲民主党の川田龍平氏や紙氏は、乳製品の低関税輸入枠や牛肉セーフガードの発動基準を修正したい日本政府の意向について、各国の合意を裏付ける文書や議事録を示すよう要求した。茂木氏は、閣僚会合や首席交渉官会合などで再三、日本側が内容を修正したい考えを説明し、参加国から異論がなかったことを繰り返し主張。「参加国間の信頼関係はしっかりできている。日本が必要な修正を必要な時に行うことに、各国が反対することはないと考えている」との考えを示した。
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