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Wednesday, July 4, 2018

医療機関もSNSコミュニケーションの時代へ 遠山 仁啓氏/清水 教弘氏 日本マイクロソフト 医療・製薬営業統括本部


(エーブィエ バイオファーム) 2018/07/04 09:00 大下 淳一=日経デジタルヘルスマイクロソフトは、コラボレーション強化や業務の効率化につながる可視化ツールを顧客企業に提案しています。最近は医療分野で活用いただく場面も増えてきました。ここではその事例を紹介させてください。私達が提供しているツールの一つは、メールや予定表をクラウドで管理するものです。これにより、例えば1週間のうちでメールの閲覧や作成に費やした時間、送受信したメールの既読率などが分かります。会議に費やした時間、そのうちメンバーが重複している割合、会議中に内職をしていたかどうかなども把握できます。そしてフォーカス時間(企画や資料作成のためのまとまった時間)や残業時間などを含め、AI(人工知能)が週ごとの業務内容を分析してレポートを作成します。 こうした分析から、組織内の人的ネットワークも可視化できます。Tier123などと呼んでいるのですが、仕事で絡む場面が最も多い相手、その次に多い相手などが分かる。メール返信が常に遅い人に対しては、電話や声がけなど別の方法を取るべきだということになりますし、毎回内職しているような会議があれば、ただ義理で出ているだけでは、と分かるわけです。こうした分析を、個人だけではなくマネジャーや経営層とも共有する。これにより、業務や経営の改善につなげていくことができます。

LINE」を好む医療機関も多い 医療機関でよく使ってもらっているツールが、ポータルです。この座談会のパネリストである山内(英子)先生の聖路加国際病院でも、10年ほど前から我々のポータルを活用してもらっています。このツールでは例えば、診療部門や委員会のチームごとにポータルサイトをつくり、会議の議事録や資料、クリニカルパス、インシデントレポートなどを共有するといった使い方ができます。ソーシャル時代に適したコミュニケーションツールも提供しています。チャットを基本とする「Teams」がそれです。マイクロソフトは従来、電子メールによるコミュニケーションに軸足を置いてきましたが、これからはチャットでのコミュニケーションの時代になります。Teamsはこれを意識したツール。デバイスを問わず使え、チャット形式で残した記録を後から振り返ったりもできます。Teamsを活用している医療機関の一つが亀田総合病院です。カルテに書くほどではない指示や伝達事項を、Teamsで共有する。職員が各自のスマートフォンでそんな使い方をしています。 医療機関にヒアリングしてみると、業務にかなり近いところで「LINE」を使っているケースも多いようです。チャットやスタンプは、医療者にとっても馴染みのツールというわけです。私達はセキュリティーを担保した業務用チャットツールを提供しており、ぜひこれを医療機関でも活用してもらえればと考えています。 あらかじめ決めたチーム内で、Facebookのように"一対多"の情報発信ができる院内SNSツールも提供しています。写真を貼り付けて共有したりできますので、医療機関で(患者情報の)申し送りに活用いただいている例があります。

法規制や制度は「シートベルト」、ブレーキではない 医療機関でSkypeを利用するケースも増えてきました。特に、米国の医療機関ではSkypeが好まれ、遠隔カンファレンスなどに使われています。我々が業務用に提供しているSkypeは、Windows 10対応でタッチ入力などもできますので、教育や研究の現場に適しています。 海外の医療機関を中心に、「Virtual Health Templates」と呼ぶSkypeのアドオンツールも利用されています。これはオンライン診療などを行う際に、問診をチャットボットが担う仕組みです。患者が「病院にかかりたい」といった相談を投げ掛けると、会話形式で問診が行われます。少し趣の異なるものとして、ゴーグル型端末「HoloLens」も医療分野で使われ始めました。HoloLensは複合現実型MRMixed Realityのツールで、装着者の視界に3次元ホログラフィックの映像を浮かび上がらせることができます。特に、医療では教育用途で使われることが多いです。擬似的に人体を解剖できるようにしたり、臓器映像にエコー(超音波)を当てると超音波画像をリアルタイムに生成したりする、といった応用が提案されています。私達は、日本の医療制度や法規制への対応にも力を入れています。例えばクラウド活用に関しては、いわゆる34ガイドラインに準拠した環境を構築し、高いセキュリティーを担保しています。さまざまな医療制度や法規制を意識し、十分な対策を取ることは医療機関にとってはもちろん重要なのですが、我々はこうした縛りを「シートベルト」だと捉えてほしいと考えています。「ブレーキ」と捉えてしまうと、ツールを使う効果を存分に発揮できなくなってしまうからです。私達はシートベルトがきちんと機能するようにしますので、安心して利用してもらいたいと思います。 デジタルを活用する一方で、私達はアナログなやり方も重視しています。例えば、マイクロソフトは現場のリーダーシップや評価のあり方について、チームで議論することを大切にしています。こうした人間関係があってこそ、チャットのようなカジュアルな方法で上司に相談ができるといったように、ICTでプロセスを簡略化することが可能になるからです。こうした土台づくりが大切だと思いますし、それは医療現場にも通じるのではないでしょうか。(談)

 


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