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Thursday, May 3, 2018

(エーブィエ バイオファーム) 皮膚掻痒に伴う血液透析 潜在的な治療と薬: ランぎプロテオグリカン蘭岐の醣の側面


透析患者さんの皮膚のかゆみ。なぜ起きるの?透析患者さんの合併症の一つに"かゆみ"があります。透析導入前にかゆみのある人は、1020%います。透析患者さんでは、60%~80%の方がかゆみに悩まされた経験があるといわれています。強いかゆみは、日常生活に支障をきたし、睡眠の妨げとなることもあります。今回は、透析患者さんの悩みの1つのかゆみについてご説明していきます。

かゆみはなぜ起きるのでしょうか? かゆみが起きる原因 皮膚掻痒感(かゆみ)とは、湿疹などはみられないのにかゆみだけを感じる病態の事をいいます。かゆみを感じる場所は、皮膚の表面に点在している痛点と一致しており、強い刺激では痛みを、弱い刺激ではかゆみとして伝えるとされています。そのため、かゆい時に掻いたり、叩いたりするとかゆみが和らぐのは、痛みとして伝わるからです。このかゆみを感じる場所から神経線維(C繊維)にかゆみの信号を伝える物質の代表がヒスタミンです。これらのような伝達経路のどこかに異常があればかゆみが起こってくることになります。つまりかゆみの原因は、 ・皮膚の異常 ・かゆみを伝えるさまざまな物質の異常 ・神経の異常

透析患者さんの皮膚の特徴 透析患者さんは、皮膚の乾燥が強い、発汗減少、色素沈着、爪病変、脱毛、毛包炎などのさまざまな皮膚症状を呈しています。かゆみは、多くの透析患者さんが悩まされる症状です。透析技術の進歩に伴い、皮膚症状を訴える患者さんは減っていますが、それでも6080%の患者さんはかゆみを訴え、40%の方は強いかゆみに悩まされています。強いかゆみは、睡眠障害やうつ状態を招き、透析患者さんの生命予後に影響を与えることが知られています。

透析患者さんのかゆみの原因とは?透析患者さんにおけるかゆみの原因は、十分に解明されていません。慢性腎不全の進行や透析治療によるさまざまなことが原因と考えられています。

乾燥肌 乾燥肌とは、角層の水分保持機能の低下や不感蒸泄(皮膚または呼気から蒸気として失われる水分)の増加などにより、角層中の水分含有量が低下した潤いのない肌の状態をいいます。角層の水分は、角層表面を覆っている皮脂膜、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質(セラミド)によって保たれています。乾燥肌ではこれらの保湿因子のいずれかあるいは全てが減少しているために、皮膚を保護する角層のバリア機構が破壊され、外的な刺激を受けやすくなります。透析患者さんは、発汗量や皮脂分泌の低下、透析の除水などで多くの人が乾燥肌になっています。健康な皮膚では、かゆみを知覚する感覚神経は表皮と真皮の境界部にとどまっていますが、乾燥肌では感覚神経が表皮内に入り込み、角層のすぐ下まで伸びてきています。さらに皮膚のバリア機能も破壊されているため、かゆみの刺激に対して敏感になります。

尿毒症物質 慢性腎不全で体内に蓄積する尿毒症物質がかゆみを引き起こします。通常の透析で除去されにくいメチルグアニジン硫酸塩、インドキシル硫酸などが原因物質と考えられています。

かゆみの伝達物質「ヒスタミン」などはかゆみの伝達物質です。皮膚に刺激を受けるとかゆみのもとになるヒスタミンが出てきて、神経を刺激し、その興奮が脊髄から大脳皮質に伝達されかゆみが認識されます。ヒスタミン、セロトニン、サブスタンスPなどがかゆみの伝達物質として知られていますが、透析患者さんのかゆみにどの程度関与しているかは、人によって異なります。

中枢神経系における内因性オピオイドの異常 オピオイドとは、モルヒネなどの鎮痛物質の総称です。体内には、内因性のオピオイド物質が脳や脊髄のオピオイド受容体に結合して痛みを和らげる作用がありますが、同時にかゆみを誘発するものもあります。かゆみの強い透析患者さんでは、かゆみを誘発する作用のある物質(μオピオイド系内因性ペプチドのβエンドルフィン)の血中濃度が上昇し、かゆみを抑制する作用のある物質(κオピオイド系内因性ペプチドのダイノルフィン)の血中濃度との差が高値になると、オピオイド系のバランスの不均衡がおきることで、かゆみが起きていると考えられます。

透析膜と血液の接触による免疫系の変化 透析膜と血液成分の接触により、補体系の活性化やインターロイキン-1などのサイトカインの産生が引き起こされます。これらが透析によるかゆみ増強に関与していると考えられます。

その他慢性腎不全に続発する二次性副甲状腺機能亢進症、ビタミンAの代謝異常、脂質代謝異常に起因する血液の流動性の悪化など、多数の因子が透析患者さんのかゆみに関与しているといわれています。

透析患者さんのかゆみの起こり方とは? 慢性腎不全の患者さんでは1020%ほどにみられますが、透析患者さんになると6090%に増え、大きな悩みの一つとなっています。また、透析歴が長くなるとその頻度も増えると言われています。かゆみの起こる部位としては、最も多いのが背中を中心とした体幹部、ついで四肢(とくにシャント側)、頭部です。シャントの穿刺部周囲だけかゆみを認めることがあり、この場合、消毒薬やテープによるかぶれや穿刺針に対するアレルギーが考えられるので注意しましょう。体感温度上昇時はかゆみを感じる閾値が下がります。そのため、就寝中や入浴後、暖かい透析室にいるときなど、体が温まるときにかゆみが増強する傾向があります。「かゆい」というのは人間にとってたいへん不愉快な感覚です。かゆみが持続すると、透析患者さんの精神状態やQOLの悪化にもつながることもあります。なかには掻きむしる行動が習慣化しかゆみがなくても掻きむしるようになったり、不眠症になったりすることもあります。


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