(コロラド州ボルダー、2018 年 8 月 7 日)-Array BioPharma Inc.(NASDAQ:ARRY、以下、 Array 社)は、本日、1~2 回の前治療に効果がなく、FDA が承認した検査法により検出された BRAFV600E 遺伝子変異陽性の転移性大腸がん(mCRC)患者の治療薬として、エンコラフェニブ (BRAFTOVITM)、ビニメチニブ(MEKTOVI®)および cetuximab の併用療法に関して、米国 FDA よりブレークスルーセラピーの指定を受けたことを発表しました。BRAFV600E 遺伝子変異陽性の mCRC 患者は、遺伝子変異のない mCRC 患者と比較して、死亡リスクが 2 倍以上高く、現在、こ の大きなアンメットニーズが残された患者に対する承認された治療法はありません[1-6]。 ブレークスルーセラピーの指定は、既存の治療法と比較して、1 つ以上の臨床的に重要な評価項 目において、当該治療薬の顕著な改善を示す予備的臨床エビデンスが示唆される重篤な状態を治療 することを意図した薬剤の開発および審査を迅速化するよう設計された FDA のプロセスです。Chief Medical Officer である Victor Sandor(M.D.)は次のように述べています。「我々は、FDA が BRAFV600E 遺伝子変異陽性の mCRC 患者さんにとって、この併用療法の可能性を認識いただい たことをうれしく思います。BRAFV600E遺伝子変異陽性の mCRC に特定した治療に承認されたレジ メンがないため、今回の指定は、重大なニーズがあるこれらの患者さんに重要な治療選択肢をお届 けする我々の努力を促進し、FDA と密接に協働する機会を提供しています。」2018 年 6 月に第 20 回 世界消化器癌学会(ESMO-GI)で発表されたように、進行中の無作為化 第Ⅲ相 BEACON CRC 試験の Safety lead-in の結果で、解析時点において、全生存期間(OS)のデ ータは 12.6 カ月時点で十分に揃っており、OS の中央値(mOS)は未達であることが示されました。
・このコホートの 1 年生存率は、62%でした。
・トリプレット療法を受けた患者での無増悪生存期間の中央値(mPFS)は、8 カ月(95%信 頼区間:5.6 - 9.3)で、1 回の前治療を受けた患者と 2 回の前治療を受けた患者では同等のも のでした。
・ 確定奏効率は 48%であり、1 回のみの前治療を受けた患者 17 例では、奏効率(ORR)は 62%でした。
・トリプレット療法では予期せぬ毒性が認められず、全般に忍容性は良好でした。患者の10% 以上で最も一般的に認められたグレード 3~4 の有害事象は、疲労(13%)、貧血(10%)、 血中クレアチンキナーゼ増加(10%)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(10%)でした。 BRAFV600E 遺伝子変異陽性の mCRC 患者を対象にした BRAFTOVI、MEKTOVI および cetuximab のトリプレット療法は治験中であり、FDA に承認されていません。
大腸がんについて 大腸がん(CRC)は、世界で男性で 3 番目、女性では 2 番目に多いタイプのがんであり、2012 年には約 140 万人が新たに診断されています。2012 年には、世界で約 694,000 人が CRC で亡くな っています[7]。米国だけで、2018 年に推定 140,250 人が結腸または直腸がんと診断され、約 50,000 人が亡くなられると推定されています[8]。米国では、BRAF 遺伝子変異陽性は、CRC 患 者の 10〜15%で発生すると推定されており、これらの患者の予後は不良です[5, 6, 9, 10]。
BRAFV600E遺伝子変異陽性のCRC 患者の死亡リスクは、BRAF 野生型の患者の 2 倍以上です[11]。BEACON CRC 試験の対照群と同様に、irinotecan と cetuximab を含む複数のレジメンで、1 回もしくは 2 回の前治療後に病勢進行した BRAFV600E 遺伝子変異陽性のmCRC 患者における臨床活性の ベンチマークが確立されており、ORR で 4 - 8%、mPFS で 1.8 - 2.5 カ月およびmOS で 4 - 6 カ月 です[1 - 6, 12]。
BEACON CRC 試験について BEACON CRC 試験は、1 レジメンもしくは 2 レジメンの治療後に病勢進行した BRAFV600E 遺伝 子変異陽性の mCRC 患者を対象に、BRAFTOVI、MEKTOVI および cetuximab の有効性および安全 性を評価するグローバル無作為化非盲検試験です。BEACON CRC 試験は、BRAFV600E 遺伝子変異 陽性の mCRC を対象としたBRAF 阻害剤と MEK 阻害剤併用の標的治療を評価するようデザインさ れた最初で唯一の第Ⅲ相臨床試験です。患者 30 例が Safety lead-in 評価に組み入れられ、トリプレ ット療法(BRAFTOVI 300 mg、1 日 1 回、MEKTOVI 45 mg、1 日 2 回、および cetuximab、ラベル に基づき)を受けました。患者 30 例中 29 例が BRAFV600E遺伝子変異陽性でした。1 例だけに DNA ミスマッチ修復機構欠損による MSI-H が検出されました。以前にも発表されていますように、トリ プレット療法で良好な忍容性が認められ、本試験の無作為化を開始することができました。 BEACON CRC 試験の無作為化された部分は、cetuximab および irinotecan による療法と比較し て、MEKTOVI の有無と cetuximab の併用における BRAFTOVI の有効性を評価するようデザインさ れています。約 615 例の患者が、トリプレット療法、ダブレット療法(BRAFTOVI および cetuximab)または対照療法(irinotecan による療法および cetuximab)を受けるよう 1:1:1 に無 作為に割り付けられます。本試験の主要評価項目は、対照療法と比較したトリプレット療法の全生 存期間です。副次評価項目は、対照療法と比較したダブレット療法の有効性、ダブレット療法と比 較したトリプレット療法の有効性です。他の副次評価項目には、PFS、ORR、奏効期間、安全性お よび忍容性が含まれます。健康関連の生活の質データも評価されます。この試験は、北米、南米、 欧州、アジア太平洋地域の 200 以上の治験施設で実施されます。患者登録は 2018 年に完了する予 定です。
BRAFTOVI および MEKTOVI について BRAFTOVI(エンコラフェニブ)は経口低分子 BRAF キナーゼ阻害剤であり、MEKTOVI(ビニ メチニブ)は経口低分子 MEK 阻害剤です。両剤とも MAPK シグナル伝達経路(RAS-RAF-MEKERK)における重要な酵素を標的としています。この経路におけるタンパク質の不適切な活性化は、 悪性黒色腫、大腸がん、非小細胞肺がん、甲状腺がんなどの多くのがんにおいて生じることが示さ れています。米国において、BRAFTOVI と MEKTOVI の併用療法は、FDA が承認した検査法により検出された BRAFV600E もしくは BRAFV600K 遺伝子変異陽性の切除不能または転移性の悪性黒色腫患 者の治療薬として承認されました。BRAFTOVI は、BRAF 野生型の悪性黒色腫の患者の治療薬とし ては適応とはされていません。Array 社は、米国およびカナダにおける BRAFTOVI と MEKTOVI の独占的権利を保有しています。 Array 社は、日本および韓国で両製剤を商業化する独占的権利を小野薬品に、イスラエルで両製剤 を商業化する独占的権利を Medison 社に、欧州、アジア(日韓を除く)および中南米を含む他のす べての国において両製剤を商業化する独占的権利を Pierre Fabre 社に供与しています。BRAFTOVI と MEKTOVI は、米国以外の国では承認されていません。欧州医薬品庁(EMA)、スイス医薬品庁(Swissmedic)およびオーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA)は、現在、 BRAFTOVI と MEKTOVIの販売承認申請を審査しており、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、両剤の製造販売承認申請を審査中です。
BRAFTOVI および MEKTOVI の適応症および重要な安全性情報 BRAFTOVI および MEKTOVI の適応症および重要な安全性情報については、英語原文のリリース をご参照ください。Array BioPharma について Array 社は、がんおよび他の重篤な疾患の患者さんを治療するための安全で有効な標的低分子薬 剤の創製、開発および商業化に焦点を当てたバイオ製薬会社です。Array 社は、米国において BRAFV600E もしくは BRAFV600K 遺伝子変異陽性の切除不能または転移性の悪性黒色腫患者の治療薬 として、BRAFTOVITM カプセルを MEKTOVI®錠との併用療法で両剤を販売しています。Array 社の 主な臨床プログラムであるエンコラフェニブとビニメチニブは、BRAF 遺伝子変異陽性の大腸がん を対象とした第Ⅲ相臨床試験を含む、多数の固形がんを対象とした 30 以上の臨床試験で評価され ています。 Array 社のパイプラインには、selumetinib(AstraZeneca 社と提携)、larotrectinib (Loxo Oncology 社と提携)、ipatasertib(Genentech 社と提携)、tucatinib(Seattle Genetics 社 と提携)および ARRY-797(Array 社の完全子会社である Yarra Therapeutics が開発中)を含め、 さらにいくつかの他のプログラムが含まれています。これらの全ての試験は、現在申請に向けて実 施されています。Ganovo®(danoprevir、Roche 社と提携)は、最近、C 型ウイルス肝炎の治療薬 として中国で承認されました。Array社に関する詳細は、www.arraybiopharma.comをご覧くださる か、Twitter と LinkedIn の@arraybiopharma をご覧ください。
参考文献
[1] Kopetz et al., ASCO 2017
[2] De Roock et al., Lancet Oncol, 2010
[3] Ulivi et al., J Transl Med. 2012
[4] Peeters et al., ASCO 2014
[5] Saridaki et al., PLoS One. 2013
[6] Loupakis et al., Br J Cancer. 2009
[7] Global Cancer Facts & Figures 3rd Edition. American Cancer Society. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/research/cancer-facts-and-statistics/globalcancer-facts-and-figures/global-cancer-facts-and-figures-3rd-edition.pdf. Accessed January 2018.
[8] Cancer Facts & Figures 2018. American Cancer Society. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/research/cancer-facts-and-statistics/annualcancer-facts-and-figures/2018/cancer-facts-and-figures-2018.pdf. Accessed January 2018.
[9] Sorbye H, et al. PLoS One. 2015
[10] Vecchione, et al. Cell. 2016
[11] Safaee Ardekani G, Jafarnejad SM, Tan L, et al. The prognostic value of BRAF mutation in colorectal cancer and melanoma: a systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2012;7(10): e47054.
[12] Seymour et al., Lancet Oncol, 2013 (supplementary appendix)
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