胃がんリスク低減へ 長泉町、中2対象にピロリ菌無料検査(2018/4/26 07:38)長泉町は2018年度、中学2年生を対象に胃がんの原因の一つであるピロリ菌の無料検査を始める。県内の自治体で、同菌の無料検査に踏み切るのは初めて。ピロリ菌の有無を早期に発見し、胃がんの発症リスクを低減させることで将来の医療費を削減する。検査は町内の学校の定期健診に合わせて行い、尿検査で感染の有無を調べる。導入初年度に限り中学3年生も対象とする。ピロリ菌は大きさ4ミクロン(千分の4ミリ)で、らせん型の形状をした細菌。感染すると徐々に胃炎を起こし、炎症がある粘膜にがんが発生する。順天堂大医学部(東京都)消化器内科の永原章仁教授(55)によると、ピロリ菌陽性の人から毎年0・5%ずつ胃がんが発症していることが分かっている。菌の保持が全て発症につながるわけではないが、国内の胃がん患者の99%がピロリ菌を有していたとの研究もあるという。感染は5歳くらいまでに主に唾液などを通して人から人へとうつる。「特に同じ食器を使って口移しなどで食事することがある家族間での感染が多い」(永原教授)。免疫が発達している成人同士ではほとんどない。10代半ばになると、検査で菌の有無がはっきり分かるようになる。町は親子間での感染確率が高いことに着目し、子どもの検査を通じて、「親自身も健康を見直し、ピロリ菌の検査や胃がんに関心を持つきっかけになってほしい」と期待する。
早期除菌で予防 ピロリ菌が見つかった場合、除菌によって発がんリスクが半減することが研究で分かっている。特に、若年層での除菌が、胃がんの予防効果を高める。除菌の方法は1週間の抗生物質の服用。順天堂大の永原章仁教授によると、29歳までに除菌した場合、胃がんの予防効果は99.9%だが、除菌する年齢が高くなるほど効果は小さくなる。70歳以上の場合、男性では44.5%、女性は73.1%まで下がるという。菌は親から子へ感染し、大人同士ではうつりにくい。永原教授は「可能なら親になる前に除菌するのが望ましい」と早期の除菌を推奨する。全国では、佐賀県が2016年度から全県の中学生を対象に検査と除菌を始め、北海道や兵庫県内でも行われている。ただ、除菌の薬には下痢や、ごくまれに出血性腸炎などの副作用が起きる場合があり、永原教授は「丁寧な説明が必要」と強調する。
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