中国の研究グループは、中国人50万人を対象とする研究の結果、卵を1日に1個を食べている人は、全く食べない人と比べて心血管疾患(CVD)リスクが有意に低下することが分かったと、医学専門誌Heart(2018年5月21日オンライン版)に発表した。高所得国と比べて中国で罹患率が高い出血性脳卒中の発症リスクと死亡リスクがともに明らかに低下したという。
出血性脳卒中の発症リスクが26%、死亡リスクが28%低下 卵はコレステロールを多く含む食材だが、質の高い蛋白質、多種のビタミン、カロチノイドやリン脂質などの生理活性物質を含んでいる。これまでの研究では、卵が健康に及ぼす影響について一致した結果が得られておらず、卵の摂取と冠動脈疾患や脳卒中の間に有意な関連は認められていない。研究グループは、2004~08年に中国の10地域で登録した30~79歳の51万2,891人を対象としたChina Kadoorie Biobank研究のデータを用いて、卵の摂取とCVD、虚血性心疾患、主要冠動脈イベント、出血性脳卒中、虚血性脳卒中との関連を検討した。卵を毎日摂取していた人は対象の13.1%(1日当たりの摂取量0.76個)、ほとんどまたは全く摂取していなかった人は9.1%(同0.29個)だった。がん、CVD、糖尿病患者を除いた46万1,213人を中央値で8.9年間追跡した結果、CVDが8万3,977例(虚血性心疾患3万169例、出血性脳卒中7,078例、虚血性脳卒中2万7,745例)、CVD死が9,985例(虚血性心疾患死3,374例、出血性脳卒中死3,435例、虚血性脳卒中死1,003例)、主要冠動脈イベントが5,103例に認められた。卵を毎日摂取していた人は、ほとんどまたは全く摂取していなかった人に比べてCVDの発症リスクが11%、虚血性心疾患が12%、主要冠動脈イベントが14%、出血性脳卒中が26%、虚血性脳卒中が10%有意に低下した。一方、死亡のリスクは、卵を毎日摂取する人ではほとんどまたは全く摂取しない人に比べて、CVD死で18%、出血性脳卒中死で28%低下していた。研究グループは「この研究は観察研究で因果関係を証明するものではないが、卵を1日に1個程度摂取することでCVDリスクが低下することが分かった。この研究結果は、健康な中国人に対する卵摂取の指針における科学的エビデンスとなるだろう」と述べている。
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