Friday, July 20, 2018

大麻由来のてんかん薬Epidiolexはブロックバスターになるのか|DRG海外レポート


( エーブィエ バイオファーム)  2018/07/18米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回取り上げるのは、大麻由来の医薬品として米国で初めて承認され注目を浴びる「Epidiolex」。一部ではブロックバスターの呼び声も高い同薬ですが、果たして。

大麻由来の医薬品 承認はFDA FDA(食品医薬品局)は625日、GWファーマシューティカルズのEpidiolex(エビディオレックス、一般名・カンナビジオール=CBD)を、レノックス・ガストー症候群(LGS)とドラベ症候群(DS)の治療薬として承認した。これら2つの疾患は、まれではあるが重度のてんかん症候群。カンナビジオールは大麻に含まれる成分で、こうした医薬品をFDAが承認するのは初めてだ。承認の次のステップとなる米DEA(麻薬取締局)の審査には最大90日かかるとみられるが、GWファーマは年末までにEpidiolexを発売できると期待している。ウォール街の一部アナリストの予測ではEpidiolexの年間売上高は10億ドル超。一方、Decision Resources Groupとしては、現時点ではもう少し控え目な予測をしている。この記事では、Epidiolexがブロックバスターとなるのに必要な条件を検討し、売り上げを左右するであろう要因について考えていく。GWファーマは今のところ、Epidiolexの定価を公表していないが、ウォール街のアナリストらは年間の費用は3万ドルと推定している。この額に基づき、継続率と服薬コンプライアンスが100%だと仮定(すべての患者が処方通り年間を通して毎日服用)すると、米国市場だけで年間10億ドルを売り上げるには、年間33334人の患者がEpidiolexによる治療を受けなければならない計算だ。LGS財団によると、米国のLGS患者は35万人。一方、DSは、有病率がLGS20%未満だとされている。ここでは単純に、米国の患者数をLGSDS合わせて5万人と仮定しよう。そうした場合、米国で年間10億ドルを売り上げるにはLGS患者とDS患者の3分の2Epidiolexを使うことになるが、これは現実的な話だろうか?

価格設定は妥当でも使用制限が課される可能性 Epidiolexの年間費用を3万ドルとすると、ルンドベックのOnfiよりは約65%高くなるが、エーザイのBanzelとは同程度となる(2017年の価格)。OnfiBanzelも、ともに米国で承認されているが、適応はLGSのみ。Epidiolexは米国で初めてDSの適応でも承認されており、保険会社にとってもその価格設定は妥当と言える。しかし、保険会社は間違いなく、症状に応じた段階的な使用といった処方制限を課すはずだ。米国のKOL(キーオピニオンリーダー)の多くは、OnfiBanzelにとっても現在の処方制限は使用の足かせとなっていると言う。厳密な処方制限が課されれば、市場シェアの3分の2を占めることも、ブロックバスターとして莫大な売り上げを手にすることも、夢と終わるだろう。

臨床プロファイルは良好だが圧倒的とは言えない 最近われわれのインタビューに応じたKOLらは、Epidiolexの臨床プロファイルを良好と評価する一方、驚異的な新薬ではないという点では一致する。KOLらは異なる臨床試験を比較した上で、Epidiolexの有効性と忍容性は、ほかの抗てんかん薬と同程度と認識している。LGSDSを対象としたEpidiolexの臨床第3相(P3)試験では、患者の1314%が有害事象により脱落している。これは、治療継続率や服薬コンプライアンス、ひいては収益にも影響してくるだろう。

適応拡大は追い風になるが対象患者は多くはない Epidiolexは、結節性硬化症関連のけいれんを対象に臨床試験を行っている。この適応で承認されれば、対象患者は25000人程度増える可能性がある。今のところはっきりとはしていないが、同社はさらに希少な疾患にも適応の拡大を検討している。また、Decision Resources Groupのインタビューに応じた米国のKOLらは、患者や医師からの需要は高くなる一方、LGSDS以外での処方は保険会社によって制限されると予想している。P3試験の主要評価項目は、LGSDSに特有なタイプのけいれんに対する有効性の評価だった。多くのKOLはこれを根拠に、Epidiolexがほかのてんかんに効果を示すか疑問視している。

DEAのスケジュールの影響は限定的 DEAは、乱用の危険性に応じて薬物をスケジュールIV5段階に分類し、それぞれ管理措置を規定している。Epidiolexは乱用の危険性が低いことが示されており、スケジュールI(乱用の危険性が高く、厳格な管理を要する)に分類するのが不適当なのは明確だ。GWファーマはスケジュールIVまたはVに分類されると想定しており、Decision Resources Groupとしてもこれは妥当だと考えている。とはいえ、合成テトラヒドロカンナビノール(THC)を含有するアッヴィのMarinolはスケジュールIIIに分類されている。KOLらは、ほかの多くのてんかん治療薬(ベンゾジアゼピン系の薬剤やエーザイのフィコンパ)なスケジュールIIIVに分類されていることを指摘し、DEAによるスケジュール分類がEpidiolexの処方に及ぼす影響は限定的だと見ている。未承認のCDBオイルは、Epidiolexの自己負担額よりもかなり高額になるだろう。あるKOLは、現時点で自身の患者の1カ月あたりの自己負担額を600ドル程度と推定する。また、未承認のCBDは質にも大きなバラツキがある。専門家は、Epidiolexが議題となった今年4月のFDA諮問委員会の会合で、治療効果が安定的な製品を入手する難しさを強調していた。2017年に発表されたある調査では、オンライン販売のCBD製剤で表示が正確だったものはわずか30%。さらに、CBD製剤の20%からはTHCが検出された。米国のKOLによると、THCは一部のてんかん発作を悪化させることがある。

ZogenixZX-008とは激しい競争に ゾゲニクスが開発中のZX-008(低用量のフェンフルラミン)は、間もなく米国で承認申請されると予想されており、来年には発売となる見通しだ。DS患者を対象としたP3試験では、有効性はEpidiolexよりも顕著で(異なる試験の比較であることには注意が必要だが)、ブレークスルーセラピーの指定も受けやすいだろう。LGSを対象としたP3試験は現在実施中で、KOLらはこの薬を強く支持している。ZX-008Epidiolexにとって大きな脅威となるだろう。つまるところ、Epidiolexの市場での成功には多くの要素が複雑に絡んでおり、この薬が実際にブロックバスターになる保証はない。また、この記事では米国以外のグローバルな販売についてはあえて触れていない。Epidiolexがほかの地域でも発売されれば、EUの主要5カ国だけでも対象患者が4万人(LGSDSの合計)ほど増える可能性はあるが、米国のような価格設定にはならないだろう。まとめとしては、希少なてんかんに対する治療薬のアンメットニーズは極めて大きく、Epidiolexの承認はLGSDSの治療におけるブレークスルーを意味する。ブロックバスターになるかどうかにかかわらず、売り上げがそれを教えてくれるだろう。(原文公開日:201872日)

 


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