Friday, July 20, 2018

抗インフルエンザウイルス薬バロキサビル マルボキシルの 良好な第 III 相臨床試験(CAPSTONE-2)結果について(速報)


( エーブィエ バイオファーム) 2018  7  17 日会社名 塩野義製薬株式会社 代表者名 代表取締役社長 手代木  (コード番号 4507 東証第一部) 問合せ先 広報部長     TEL 0662097885塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」 または「当社」)は、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を 対象としたバロキサビル マルボキシルの III 相臨床試験(CAPSTONE-2)において、主要評 価項目であるインフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)がプラセボ に対する優越性を示し、本試験の主要目的を達成したことをお知らせいたします。また、本薬は、 主要な副次評価項目である抗ウイルス効果(ウイルス排出期間の短縮や体内ウイルス量の減少効 果など)においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示しました。さらに、本 薬は、インフルエンザ関連合併症の発現率をプラセボに対して有意に低下させました。一方,本 試験での本薬の忍容性は良好であり、安全性について懸念は示されませんでした。本試験の詳細 な結果は、今後学会にて発表する予定です。 バロキサビル マルボキシルは、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ依存性エ ンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、これによりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既 に実施した、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもたない健常なインフルエンザ患 者を対象とした第III相臨床試験(CAPSTONE-1)においても、インフルエンザ罹病期間がプラ セボに対して有意に短縮しております。さらに、ウイルス排出期間および体内ウイルス量などの 抗ウイルス効果においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示しております1, 2 本薬は、2018  2  23 日に日本国内で製造販売承認を取得し、成人および小児におけるA およびB型インフルエンザウイルス感染症を対象に製品名ゾフルーザ®として販売されておりま 32018  4  24 日に、12 歳以上の急性の合併症のないインフルエンザウイルス感染症を適 応症として、米国食品医薬品局(FDA)に本薬の新薬承認申請を行い、受理されております。本 薬は疾病の治療、予防、診断に著しい改善が見込まれる薬剤が対象となる優先審査の対象品目に 指定されており、FDAの審査終了目標日(PDUFA date)は 2018  12  24 日です4。また 2018  6  29 日に、12 歳以上の合併症のないインフルエンザウイルス感染症を適応症として、台湾 食品薬物管理局(TFDA)に本薬の新薬承認申請を行っております5 このたびの CAPSTONE-2 の試験成績は、バロキサビル マルボキシルがリスク要因をもたない 健常なインフルエンザ患者に加えて、喘息及び呼吸器疾患、内分泌疾患、心疾患、代謝異常、病 的な肥満等の基礎疾患をもつ患者や 65 歳以上の高齢者などの重症化および合併症を起こしやす い患者に対しても効果を発揮することを示すものです。これまで、このようなリスク要因をもつ 患者において、罹病期間の短縮やインフルエンザ関連合併症の発現率低下といった臨床効果を臨 床試験で明確に示した薬剤はありません。これにより、塩野義製薬は、バロキサビル マルボキシ ルが多くの患者さまにとってより良い治療選択肢になると考えております。塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ た中期経営計画 SGS2020 の中で、「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社 会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者 さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。 なお、本件が 2019 年(平成 31 年)3 月期の業績に与える影響は軽微です。  

【バロキサビル マルボキシルについて】 塩野義製薬が創製し開発したバロキサビル マルボキシルは、既存の薬剤とは異なる新しい作用 機序であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を 抑制します。既存の薬剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で効果を発揮します。バロキサビル  ルボキシルは前臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエ ンザウイルス(H7N9, H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました6, 7, 8 本薬の開発および販売は F. Hoffmann-La Roche Ltd.(以下「Roche 社」)との提携下で進めて おり、日本と台湾における本薬の販売は塩野義製薬が、それ以外の国における本薬の販売は Roche 社が行います。

CAPSTONE-2 試験について】 CAPSTONE-2 試験は、重症化および合併症のリスク要因をもつ 12 歳以上のインフルエンザ患 者を対象に、多施設共同、無作為化、プラセボおよび実薬対照二重盲検比較の第 III 相臨床試験 です。本グローバル試験は塩野義製薬が実施いたしました。被験者はバロキサビル マルボキシル 40 mg または 80 mg(体重により決定)の 1 回投与群、プラセボ、またはオセルタミビル 75 mg 1  2  5 日間投与群に無作為に割り当てられました。本試験の主要評価項目はインフルエンザ 罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)であり、主な副次的評価項目は、平熱に 回復するまでの時間、ウイルス排出の停止までの時間、各時点におけるウイルス力価、インフル エンザ関連合併症の発現率です。

【インフルエンザについて】 インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、既存の治療法より優れた新 薬が切望されています。世界的には、インフルエンザの流行により年間 300500 万人が重症化 し、65 万人が亡くなると報告されています9, 10, 11, 12, 13。アメリカ疾病予防管理センターは、2  未満の子供、65 歳以上の高齢者、妊婦および、喘息および肺疾患、心疾患、血液疾患、内分泌疾 患、代謝異常、極度の肥満、免疫抑制状態等の基礎疾患を持つ方などを重症化および合併症を起 こしやすいハイリスク患者と定義しています14

参考:

1. 2017  9  14 日リリース 新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188 の第Ⅲ相臨床試験結果について- 欧州インフルエンザ科学ワーキンググループ会議(ESWI)にて結果を発表-

2. 2017  10  6 日リリース 新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188 の学会発表について-米国感染症 学会週間(IDWeek 2017)にて臨床および非臨床試験結果を発表-

3. 2018  3  14 日リリース 抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザTM 10mg20mg」新発売のお知らせ

4. 2018  6  26 日リリース 抗インフルエンザウイルス薬バロキサビル マルボキシルの米国における製造販売承認申請 受理および優先審査指定について

5. 2018  7  2 日リリース 新規インフルエンザ治療薬バロキサビル マルボキシルの台湾における製造販売承認申請に ついて

6. T. Noshi et al. S-033447/S-033188, a Novel Small Molecule Inhibitor of Cap-dependent Endonuclease of Influenza A and B Virus: In Vitro Antiviral Activity against Laboratory Strains of Influenza A and B Virus in Madin-Darby Canine Kidney Cells. Poster presentation at OPTIONS IX, August 2016.

7. K.Taniguchi et al. Inhibitory Effect of S-033188, a novel inhibitor of influenza virus cap-dependent endonuclease, against avian influenza A/H7N9 virus in vitro and in vivo. Poster presentation at ESWI, September 2017.

8. K.Taniguchi et al. Inhibitory Effect of S-033188/S-033447, a novel inhibitor of influenza virus cap-dependent endonuclease, against highly pathogenic avian influenza virus A/H5N1. Poster presentation at ECCMID, April 2017.

9. http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/ World Health Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal flu each year, Accessed December 14, 2017.

10. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website, Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.

11. Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.

12. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the United State. Accessed April 19, 2017.

13. Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.

14. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/high_risk.htm CDC website, People at High Risk of Developing Flu–Related Complications, Accessed January 23, 2018.


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