Thursday, September 20, 2012

iPS細胞特許、新たに日本で1件、米国で3件成立、京大発表

 2012/09/19()京都大学は9月18日、山中伸弥教授らが開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)の基本技術に関する特許が、日本で1件、米国で3件、新たに成立したと発表した。これでiPS細胞関連の取得特許は日本で計4件、米国で計6件となった。日本で成立した特許1件(出願番号:特願2007-550210)は、iPS細胞の基本技術に関するもので、特許請求の範囲の概要は、(A)特定のOctファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、Mycファミリー遺伝子およびSoxファミリー遺伝子を体細胞に導入する、iPS細胞の製造方法(ただし、初期化体細胞で、前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、その遺伝子は導入遺伝子から除いてもよい)、(B)特定のOctファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子およびSoxファミリー遺伝子が導入された体細胞を、増殖因子bFGFの存在下で培養する、iPS細胞の製造方法(同上のただし書きあり)、(C 前記(A)または(B)に記載の製造方法によりiPS細胞を製造し、分化誘導する、分化細胞を製造する方法、となっている。本特許の権利の及ぶ範囲は、(A)(B)(C)の製造方法の実施の他、(A)(B)では、この方法で製造されたiPS細胞の使用(iPS細胞の販売やiPS細胞の分化誘導)にも権利が及び、(C)では、この方法で製造された分化細胞の使用(分化細胞の販売や分化細胞を用いたスクリーニング)にも権利が及ぶ。過去に成立していた日本特許3件では、いずれも導入遺伝子がOct3/4, Sox2, Klf4またはOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycに限定されていたが、今回成立した特許では、導入遺伝子が特定のファミリー遺伝子まで広く認められ、更に、その特定初期化遺伝子が体細胞で発現している場合は、その遺伝子を除く初期化遺伝子を導入する方法も含めて成立しており、また、iPS細胞の作製方法に加え、iPS細胞の作製、分化誘導の一連の工程で作製された分化細胞を用いた薬剤候補物質スクリーニング等まで、広範囲に権利が及ぶため、日本国内でのiPS細胞技術を用いた医療応用の研究開発に拍車がかかることが期待できるとしている。米国で成立した3件のうち1件は、京大の特許出願で、哺乳類の体細胞に、Oct3/4, Klf4及びSox2の3遺伝子をレトロウイルスベクターで導入し、サイトカインの存在下で培養する、iPS細胞の作製方法、別の1件はiPierian社から譲渡された特許出願で、ヒトの体細胞に、Oct3/4, Klf4及びSox2の3遺伝子をレトロウイルスベクターで導入し、HDAC阻害剤と接触させ、増殖因子bFGFの存在下で培養する、ヒト幹細胞の作製方法だが、2つの発明は作製方法が類似し、米国でインターフェアランス(発明日の争い)に入る可能性があった。しかし、iPierian社から、京都大学に譲渡されたため、係争が回避された経緯がある。残りの1件もiPierian社から譲渡された特許出願で、Oct3/4, Klf4及びSox2の3つの遺伝子を含むiPS細胞から分化させた細胞を、薬剤候補物質と接触させ、新薬候補物質の探索や毒性物質の同定する方法となっており、これらの特許3件が米国で成立したことで、米国内でiPS細胞を用いた研究や薬剤候補物質の探索に関する研究が進むことが期待できるとしている。

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