SankeiBiz 8月30日(木)8時15分配信 日立製作所と東京女子医大が開発した細胞シートの自動培養装置=29日、東京都千代田区(写真:フジサンケイビジネスアイ) 日立製作所は29日、働きが悪くなった組織や臓器を作り直す「再生医療」への利用が期待される培養細胞「細胞シート」を自動的に作製する装置を開発した、と発表した。世界的に治験が進む角膜と食道向けで、自動化により手作業でつくるのに比べシート作製コストを10分の1以下に低減できるのが特徴。3年程度で製品化し、国内外の医療機関に売り込む考えだ。細胞シートの自動作製装置は東京女子医大と共同開発した。装置は縦横80センチ弱、高さ150センチ。人の身体から採取した細胞を培養してつくった直径数センチの細胞シートを清潔に保たれた装置内に入れれば、2週間程度で1人分のシートが作製できる。装置で培養された細胞シートは目の角膜の病気の治療に加え、内視鏡で食道がんを取り除いた跡の粘膜再生などに使われる。価格は非公表。現在、細胞シートの作製は手作業がほとんど。ただ、医療として使うには細菌やほこりなどの汚染がない環境が必要で、作製には衛生管理だけで1人当たり年間数百万円が必要だった。今回の装置は衛生管理の手間が省けるうえ、作業者も不要なため、コストの大幅な低減になるという。日立は、世界的にニーズが高まる再生医療分野を今後のヘルスケア事業の戦略製品と位置づける。世界のヘルスケア企業の再生医療関連への研究開発投資額(推定値)は2013年には約33億ドル(約2600億円)になるとの試算があるなど、今後の成長が見込める分野だからだ。世界的な需要拡大をにらんで国内メーカーの研究開発も活発化している。テルモは心筋再生医療で細胞シートを使った治験を国内で進める。シートを傷んだ心筋の表面に貼ることで重症心不全の病態改善の効果に期待する。富士フイルムは再生医療に必要となる細胞の増殖に不可欠な「足場」にヒトコラーゲン型のタンパク質を使った新型を開発。これを基に、厚さ1ミリを超える細胞の集合体をつくり、それを移植して生体組織と結合した血管形成に世界で初めて成功している。
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