Thursday, April 19, 2018

(エーブィエ バイオファーム) 両立支援や少子化対策の決定打ではない: 祖父母はあくまで安心材料


保育所に入れない(3)「働きながら孫育て 不安ある」 働く親にとって、祖父母の存在は頼りになる。しかし、遠方に暮らしているなど家庭によって事情は異なる。60歳を過ぎても働き続ける祖父母も増え、「孫育て」を支援する動きもある。埼玉県の介護職員、今成友里子さん(29)は昨年10月、長男の雄之助ちゃんを里帰り出産した際、車で1時間ほどの場所に住む実母の今野良恵さん(56)にサポートしてもらった。良恵さんの勤務先で、保育所などで撮られた写真を保護者に代行販売する「ハッピースマイル」(さいたま市)には、祖父母が時短勤務を取得できる制度がある。制度は、孫が高校を卒業するまで、定時より1時間遅く出社したり、早く帰宅したりできる。良恵さんは早く帰宅し、孫の入浴などを手伝った。友里子さんは来春、復職予定だが、無事に保育所に入れるかは分からない。消防士の夫は泊まり勤務もあり送迎は難しい。良恵さんは「保育園に入れれば、私が働き続けながら娘をサポートできる。でも、入れなかったら娘か私が仕事を辞めることも考えないと」と不安を打ち明ける。孫育てを支援する職場は増えた。第一生命保険は2006年に「孫誕生休暇」制度を導入。企業内保育施設で、従業員の孫を預かる企業もある。福井県は、孫育て休暇を取得させる企業に奨励金を支給している。女性の年齢別就業率をみると、最近では、祖母世代にあたる55歳以上でも働く女性が増えている。福井市の医療法人「穂仁会」で働く薬剤師の米林悦子さん(67)は、2人目の孫が生まれる時、上の孫の面倒を見るため3週間の休みを取った。自身も孫育てをしている両立支援担当の海道敦子看護部長は「働きながら孫を育てるのは当たり前の時代。知識も経験も豊富な祖父母が働き続けてくれるのはありがたい」。一方で、祖父母の側からは、「毎日子どもの面倒を見るのは体力的にきつい」「自分の時間もほしい」といった声もある。第一生命経済研究所が14年、祖父母を対象に行った調査では、「子育ては親自身で行うべきだ」と考える人は80%。ただし、54%は、「娘や息子のためには引き受ける」と回答した。調査を担当した北村安樹子上席主任研究員は、「第1子の平均出産年齢が30歳を超え、祖父母も高齢化している。負担を十分配慮する必要がある」と指摘する。そもそも祖父母のサポートを受けられない親も多い。祖父母が子育てを手伝ってくれるかどうかで働き方も違ってくる――。そんな状況を意味する「祖父母力格差」という言葉もある。祖父母頼みには限界がある。「祖父母はあくまで安心材料。両立支援や少子化対策の決定打ではない」保育制度に詳しい「保育システム研究所」の吉田正幸代表は「どの地域でも安心して子どもを育てられるよう、自治体は保育ニーズを把握し、供給計画を実施すべきだ」と話している。この連載は、東京本社生活部・内田淑子、矢子奈穂、社会保障部・小沼聖実、大阪本社生活教育部・辻阪光平、西部本社生活文化部・堀家路代が担当しました。


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