Sunday, April 8, 2018

(エーブィエ バイオファーム) 肥満の脳批判的タンパク質スイッチ


科学は肥満に勝利するか? リバウンドを発動する「脳内スイッチ」をついに特定 秋山文野 [テクニカルライター] Mar. 09, 2018, 「体重を減らすぞ!」と強い決意をして、食事を減らすなどしてダイエットに成功したとしても、しばらくするとまた体重が元に戻ってしまうリバウンド。これは誰もが知る「ダイエットの罠」だ。でも、リバウンドを発動させる「脳内スイッチ」をブロックできたとしたらどうだろう?オーストラリア、モナシュ大学の研究チームは、213日付けの科学ジャーナル「セル・リポーツ」で、脂肪燃焼に関わる分子スイッチ(タンパク質の一種)を特定したと発表した。実はこの分子スイッチは、ダイエットの後にまた体重が増えてしまう「リバウンド」の防止に道を開いてくれる可能性があるとして注目されている。減量のときに無理をすると、脂肪だけでなく筋肉まで減ってしまい、エネルギーを消費しにくくなってしまう。するとリバウンドで体重が増えるときには脂肪ばかり増えて、外見上もたるんで見えたり、内臓の周りに脂肪がついたりと良いことがない。体重が増えたり減ったりを繰り返すことは「ヨーヨーダイエット」とも呼ばれ、不健康なダイエットの代名詞にもなっている。今回、モナシュ大学のチームが特定したのは、身体が"飢餓状態"にあったり、体重の減少が起きたりしているときに、脂肪の燃焼をコントロールするスイッチとなるタンパク質。「カルニチンアセチルトランスフェラーゼ(Crat)」という。

脳内スイッチとして働くタンパク質「Crat」とは何か? ハンバーガー カタカナで18文字もある長い名前を見ただけで嫌になってしまうかもしれないが、Cratは筋肉の中で普段から大切な働きをしている酵素の一種だ。長い時間、持続的に身体を動かすようなときには、酸素をたくさん使って脂肪からエネルギーを作り続ける必要がある。このときのエネルギーを作り出す主役になるのは、細胞の中のミトコンドリアという部分だ。エネルギーのもとになる脂肪酸が筋肉まで運ばれてくると、Cratが触媒として働き、脂肪酸は「アシルカルニチン」という形に変わる。そして、アシルカルニチン専用のトランスポーター(運び屋)タンパク質に乗っかってミトコンドリアの中に入り、そこからやっとエネルギーに変わる……という具合だ。モナシュ大学チームは、普段は筋肉で働いているCratが脳の食欲をコントロールする部分で働くと、空腹になったとき、そしてもう一度食事をとったときの代謝の情報をコントロールする役割を持つのではないか、と仮説を立てたのだという。ダイエットで食事を減らすことは、身体にとっては食事でエネルギーを十分にとることができない一種の飢餓状態だといえる。このとき、必要なエネルギーをまかなおうとして、身体に蓄えられた脂肪を燃焼させて利用しようとする。けれども、脂肪はいざというときの大事な蓄え(本人の意識では余計なぜい肉だと思っていたとしても)なので、次に食べ物が入ってきたときには、脳はすみやかに脂肪を蓄積するモードに身体を切り替えようとする。モナシュ大学のゼイン・アンドリュース准教授らのチームの発表によると、Cratは脳の食欲を調節する部分で、肝臓がグルコース(身体が利用できるエネルギーの形)を作る働きに関わっている。具体的にはこうだ。飢餓の間、肝臓はグルコースをせっせと作るようにする。そして食物が入ってきたら、すぐに蓄えられた脂肪からのグルコース生産は抑えて、反対に食物を脂肪に変えようとする、という。ダイエットの後にこれが起きると、私たちがよく知る「リバウンド」となってしまうというわけだ。アンドリュース准教授らは、Cratタンパク質の働きを確かめるため、これが働かないよう遺伝子を操作したマウスを使って実験した。マウスを絶食させて一時的な飢餓状態にした後に、また餌を与えたところ、通常よりも体脂肪の消費率が高い状態が続いたという。脂肪消費モードの「スイッチが入った」状態のまま、食べ物が入ってきても体脂肪をエネルギーに変えようとする働きが続いているように見える。こうした研究から、アンドリュース准教授は、繰り返して食事制限をすることで、脳は「飢餓が頻繁に起きている」と認識してしまい、将来の飢餓に備えて脂肪をためこみやすくなってしまうのかもしれないとコメントしている。そうであれば、間違ったダイエットがかえって太りやすい身体を作ってしまうのでは? という以前からある懸念は当たっていることになる。今回の研究は、マウスで遺伝子操作をして行われたものであるため、その成果を明日にでも人に応用できるというものではない。だが、脂肪の蓄積と利用の仕組みを解明することができれば、健康的なダイエットだけでなく、肥満や2型糖尿病といった病気の抑制にもつながるかもしれない。その点で、今後の進展に大いに期待したい研究だ。


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