Wednesday, May 30, 2018

(エーブィエ バイオファーム) はしか流行 感染を防ぐには予防接種が必須


日経 2018/5/30 気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く新連載。初回に取り上げるのは「麻疹(はしか)」だ。沖縄に端を発した麻疹感染が、福岡、愛知、埼玉、東京などへも広がりを見せている。国立感染症研究所の発表によれば、523日現在までの日本全国の感染報告数は162人に上る。麻疹の流行時にすべきこと、麻疹の流行を繰り返さないためにできることを聞いた。

【ココがポイント!】 ●日本の麻疹は「輸入感染」。海外から持ち込まれる可能性は常にある ●「空気感染」で感染力が非常に強い 1012日間の「潜伏期」があり、発症後数日間は風邪と似た症状しか出ないため、初期での診断が難しい ●予防には「ワクチン接種」が最善策。1990年以前に生まれた人は、予防接種歴、既往歴を確認 ●麻疹が疑われるときは事前連絡の上、マスク着用で受診 ●流行を防ぐには、流行していないときにこそワクチン接種を

日本の麻疹は海外から持ち込まれる―― 3月に沖縄での麻疹流行が報道されて以来、感染が広がっています。日本では麻疹はなくなったはずですが、今回のような流行が度々起こるのはなぜでしょう。日本の麻疹は、2015327日から「排除状態」となっています。排除状態とは、その国や地域特有のウイルスによる麻疹が発生しない状態が3年以上継続したとき、世界保健機関(WHO)によって認定されます。ただ、その国や地域で排除状態になっただけであって、麻疹そのものが撲滅されたわけではありません。麻疹がまだ抑えられていない海外への渡航者や、海外から日本を訪れる人が持ち込む可能性は常にあります。つまり、日本の麻疹は現在では「輸入感染症」となっているのです。今回の流行も、台湾から沖縄旅行にやって来た、たった1人の外国人から始まっています。麻疹感染に気づいていなかったその旅行者が、観光地やホテルなど移動した先々で感染を拡大。そして、沖縄へ旅行していた10代の男性が、その後に帰省した名古屋の医療機関で麻疹と診断されました。 そのときに同じ病院に居合わせた中学生や、10代の男性が受診した別の医療機関でも30代の職員が麻疹を発症するなど、感染者の移動とともに、二次感染、三次感染と広がっていきました。麻疹を診断した医療機関は保健所への届出義務があり、麻疹の報告を受けた保健所は、その患者に発症までの行動などを聞く接触調査を行います。そこで感染経路が明らかになるのですが、二次感染、三次感染、それ以上となっていくと、追えないケースも出てきます。今回の流行でも、ゴールデンウイークの人の移動でそのケースが懸念されていましたが、実際にその後、沖縄からたどれない地域での散発例が報告されました。

感染力が非常に強い「空気感染」で拡大―― 麻疹の感染力は、それほどまでに強いのですね。その通りです。一般的にはインフルエンザも感染力が強いといわれますが、インフルエンザの場合は「飛沫感染」なので、くしゃみや咳(せき)などでウイルスが飛んでも、水分を多く含んでいるため、2メートル以内のところで地面に落ちてしまいます。ですから、感染者がいても2メートル以上離れていれば、直接感染することはありません。ところが、麻疹のウイルスは粒子が小さくて軽いので、空中を長く浮遊します。そのため、同じ空間にいるだけで感染する可能性があるのです。このような「空気感染」する一般的な感染症は、麻疹のほかには結核と水痘(みずぼうそう)の3つしかありません。


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