私たちは病原体等の異物を排除するために免疫システムを利用していますが、がん細胞の排除にも同様の免疫システムが働いています。がんの発生初期には自然免疫系から獲得免疫系につながる一連の免疫システムが作動することでがん細胞が排除されます。がん細胞を殺傷するキラーT細胞(CD8+T細胞)は、細胞表面に発現しているT細胞受容体(TCR)によりがん抗原を特異的に認識し、殺傷します。CD8+T細胞は、TCRとがん抗原ペプチドとの相互作用と、細胞表面に発現する副刺激分子(CD28等)のシグナル伝達が生じることで活性化し、がん細胞を殺傷できるようになります。一方で、副刺激分子と拮抗し、免疫抑制シグナルを伝達する免疫チェックポイント分子(CTLA-4、PD-1等)が存在し、T細胞の過剰な免疫応答を抑制しています1。 近年、がん免疫治療薬として免疫チェックポイント分子の阻害抗体が開発され、難治性がん患者に対し劇的な効果を示しています。しかし、これらの抗体医薬は全身に作用するため、治療患者の多くは、免疫の過剰応答による自己免疫疾患を発症してしまいます。現在まで、がん微小環境に存在するCD8+T細胞のみを効率よく活性化させる手段は明らかにされていません。以上を踏まえ、私たちの研究室ではがん微小環境に存在するCD8+T細胞の活性化および活性抑制に関与する分子や細胞機能を詳細に解析し、がん微小環境下でCD8+T細胞を活性化する新規メカニズムの解明を目指しています。
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