2018/08/16増田 克善=日経デジタルヘルス有効性や安全性、経済性を考慮した医薬品の使用を推奨する「フォーミュラリー」。国内で院内フォーミュラリーを導入する医療機関が拡大しつつある中、地域包括ケアにおけるフォーミュラリーの実践は有効なのか――。日本でいち早くフォーミュラリーを導入した聖マリアンナ医科大学の客員教授で、日本調剤グループの日本医薬総合研究所 病院コンサルタントグループの増原慶壮氏が、日本医薬総合研究所シンポジウム2018(2018年7月18日、東京国際フォーラム)においてこうしたテーマで講演した。
日本医薬総合研究所の増原氏 クリックすると拡大した画像が開きますフォーミュラリーは、「医療機関における患者に対して最も有効で経済的な医薬品の使用指針」と定義されている。欧米の先進諸国では1980年代後半から既に多くの医療機関や地域で導入・運用されている。「日本のようにMRが推奨した新薬を医師が自由に使うような薬物治療は、欧米先進国では行われていない」(同氏)という。2014年度診療報酬改定で後発医薬品調剤体制加算の要件が見直され、国主導で後発医薬品の利用促進に取り組んでおり、2020年9月までに後発医薬品の使用割合80%を目標にしている。増原氏は、数量ベースでは後発医薬品の割合は高まっているが、金額ベースでも増えているかが問題だと指摘する。「例えば、プロトンポンプ阻害薬(PPI)経口薬の後発品にはオメプラゾール、ランソプラゾールがあり、潰瘍の80~90%を治療できるエビデンスがある。それにもかかわらず、薬価が約3倍のネキシウムが登場したらその使用が急激に伸びる。3倍の(薬価に匹敵する)有効性があるのか比較検証しないのが実態だ」。
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