2012.7.14 05:00日本の製薬会社が、相次いで新興国への本格進出を果たしている。経済成長に伴い中間所得層が増え、医薬品の市場として魅力が増したからだ。潤沢な資金をもとに現地企業を買収し、後発医薬品や一般医薬品(OTC)の販売網を一気に確立する動きも目立つ。一方で、自社開発品の価格を国ごとに変えるなどして、地道に販路を切り開く企業もある。武田薬品工業は今月3日、ブラジルの中堅製薬会社マルチラブ社買収を完了。マルチラブは総合感冒薬などOTCの大手として知られる。武田は現地に販社を設立するなど、すでに同国市場に参入していたが、今回の買収で世界6位の規模といわれる同国医薬品市場でトップ10に入ることになった。武田薬品は昨年、ブラジルにも販路をもつジェネリック(後発)医薬品大手、ナイコメッド(スイス)を1兆円超で買収。ジェネリックやOTC、自社開発品を合わせた販路開拓を急ぐ。2008年にインドのジェネリック大手ランバクシー・ラボラトリーズを買収した第一三共は、グループで製品を供給できる国が54カ国に倍増したという。大正製薬ホールディングス(HD)は9日、メキシコの製薬大手「コンパニアインターナショナル(CICSA)」とそのグループ会社の合計4社を買収。昨年4月にも同社は、皮膚病用医薬品のマレーシア企業「ホウファーマ・ホールディングス」を104億円で買収しており、照準を絞った新興国戦略を進める。各社が新興国に進出する背景として、業界に詳しいアナリストは「大型薬の開発が困難になり、先進国で存在感を示すのが難しくなっている」と説明している。一方で、エーザイなどはあくまで自社開発品をメーンに、自前の販社を通じた新興国戦略を描く。「抗がん剤など自社開発品の市場は広がっている」(同社)という。同社は、国ごとに医薬品の販売価格を変える仕組みを取り入れ、新興国での地道な市場開拓を進める考えだ。
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