2012年08月20日PM05:00 ジョンズ・ホプキンス大の医学部などの研究者によるチームが、現地時間5日、細胞膜にある酵素の安定した状態の詳細な設計図を読み解くことに成功し、StructureとNature Chemical Biologyで、その成果を発表した。Medical News Todayにその旨掲載されている。 そのうち、偏菱形のプロテアーゼと呼ばれる酵素をさらに研究したところ、この研究結果が、マラリアや他の寄生虫病の治療における新薬に役立つ可能性があることが分かったという。
今後のさらなる研究と治療薬への応用に期待 プロテアーゼは、多くの異なる生物に存在するもので、タンパク質を切った細胞の膜にあるユニークな酵素であることが知られている。以前研究チームらは、このプロテアーゼが、マラリアを引きおこす寄生虫である、マラリア原虫が赤血球に侵入し、最終的に感染にいたる経緯において、非常に重要な酵素であることを証明していた。 そのため、この酵素の安定性をより詳しく理解することが、酵素を阻害する物質、新しい治療薬につながる可能性があると考えられたという。 研究では、熱の光散乱として知られる技術に目をつけ、はねる分子が後に引く光の量を計測しつつ、サンプルを高温まで加熱、安定形から壊れた酵素は違った光の散乱のさせ方をみせることを利用して、観察を行ったそうだ。そして、その極限温度で酵素が本質的な安定性を示した状態を調べた。 まず病原性大腸菌からこの酵素の安定性を計測したところ、相似形の他の膜たんぱく質とはまったく異なっており、ゼリーのように不安定な動きをしていたという。この独特な動きが、他のたんぱく質との相互作用を起こしているとも考えられるといい、この酵素のどの部分がかたちの維持に重要なのか、さらに研究を行ったそうだ。 その結果、4つのポイントがかたちの維持に重要で、少なくともそのうち2つが機能をはたらかせるのに重要であると分かったという。このほか、機能におけるテストをコンピュータシミュレーションでも実施し、水分子が重要な意味をもつことを見出したとしている。 研究チームでは、かたちにおける安定や変化にかかわらず、機能を失わなかった酵素のバージョンについて、とくに関心を示しており、この研究をはじめ、プロテアーゼのさらなる研究結果が、マラリアや他の寄生虫病の治療に新たな道を開くものとなることを期待している。
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