UCLA看護学部が男性の精子の質に対するクルミの改善効果の可能性を発表2002年に厚生労働特別研究が発表したデータによれば、日本国内で不妊治療中の家庭は約43万人に達しているという。これまでの不妊症の治療は、主に女性に対するケアが中心だったが、WHO(世界保健機関)による最新のデータによれば、不妊症の約半数(データによっては約4割)が男性側に原因があると指摘しており、男性の10人に1人は、乏精子症や無精子症、精子無力症など、精子に問題を抱えていると言われている。こうした状況の中、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)看護学部による研究において、非常に興味深い結果が得られ、米専門誌『バイオロジー・オブ・リプロダクション』のウェブ版に研究結果が掲載され、多くの注目を集めている。UCLAの看護学部、およびフィールディング公衆衛生学大学院のウェンディー・ロビンス教授が報告した研究結果を要約すると、「男性が毎日ふたつかみほどのクルミを食べると、生殖力を高めるのに必要な後押しが得られるかもしれない」と言う事だ。今回の実験では、1日75g のクルミが精液の質に与える影響を調査している。西洋式の食事を摂取している健康な若い男性117人を対象に、12週間に渡り参加者の約半数に1日75グラムのクルミを摂取させ、残りの半数は比較対照群とした。この結果、12週間後のクルミ摂取群は対照群と比べて、精子の活力や運動性、形態など、精子のパラメーターに有意な改善が確認されたのだ。この実験は、クルミが天然の植物性オメガ3脂肪酸であるアルファリノレン酸が豊富なナッツ類であり、アルファリノレン酸がダウン症候群などの遺伝的異常をもたらしうる、細胞染色体数異常の発生頻度が低いという相関性が報告されている事に基づいて実施された。前出のウェンディー・ロビンス教授によれば、この実験以前にも、クルミに含まれる栄養素が精子のパラメーターによい効果をもたらすことを裏づける研究は存在していたが、今回の実験では活力と運動性と形態がすべて改善する事が確認できたとしている。ちなみに、食物に多くのアルファリノレン酸を含む食品としては、クルミの他にもエゴマや菜種油、ホウレン草などが知られているが、日本ではエゴマは薬味として使われるのが主流で、アルファリノレン酸の必要摂取量である、1日2g を毎日摂取するのは難しく、ホウレン草では1日に1.4kg を食べないと、必要摂取量を満たす事ができない。その点クルミは、炒った状態で100g あたり9g のアルファリノレン酸が含まれており、UCLAの実験(1日75g のクルミを摂取)では、毎日6.75g のアルファリノレン酸を摂取していた計算となる。毎日1.4kg のホウレン草と、75g のクルミのどちらを食べ続ける事が楽かは言うまでもない。不妊症の原因は様々で、クルミが万能薬であるとは言えないが、不妊症の治療を女性任せにする事に負い目を感じている男性にとっては、手軽に始める事のできる対策のひとつと言えるだろう。UCLAの看護学部によれば、次のステップは不妊クリニックを受診しているカップルと協力して、男性がクルミ食をとるとカップルの妊娠率が高くなるかどうかを調べる事としており、こちらの研究結果も注目されるところだ。
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