細胞周期の進行を止めて癌細胞の増殖を抑える新しいタイプの薬が、転移・再発乳癌の治療に使われるようになっている。細胞周期促進因子のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4とCDK6を阻害するパルボシクリブという薬は、ホルモン受容体陽性の乳癌で有効性が証明されている。術前・術後治療でも、このパルボシクリブを用いた試験がいま行われている。ステージII・III期の乳癌患者を対象に、術後ホルモン療法と術後ホルモン療法+パルボシクリブを比較する試験、さらに術前治療後で再発リスクの高い患者を対象に、術後ホルモン療法と術後ホルモン療法+パルボシクリブを比較する試験がある。また別のCDK4/6阻害薬であるアベマシクリブの試験もある。再発リスクの高い患者を対象に、術後ホルモン療法と術後ホルモン療法+アベマシクリブが比較される。なお日本ではアベマシクリブは承認申請中である。「これらの試験の結果が出るのはまだ先なので、パルボシクリブやアベマシクリブの術前・術後治療がすぐにみなさんの元に届くわけではないが、注目される試験である」と永井氏は話した。
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