光線療法であれば5回程度で有効性を判断する。内服薬のシクロスポリンは3~6ヵ月で有効性を判断している。これらが効果不十分なら、治療方法の1つとして生物学的製剤を検討していく」と、効果不十分の目安について言及してくれた。「そして今回、生物学的製剤の新たな選択肢として、トレムフィアが承認された。同剤は、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、乾癬性紅皮症、汎発性膿疱性乾癬に対して適応症をもつ薬剤で、IL-23という物質の働きを抑える薬となっている」と、新しい薬剤について解説。「IL-23は、リンパ球に働くことにより、乾癬の皮膚や関節の症状を引き起こすIL-17を多く放出。乾癬患者は、IL-23が過剰に増えているが、トレムフィアを投与することでIL-23の働きを抑え、IL-17の放出を減らすことができる」と、作用機序について教えてくれた。「トレムフィアを投与開始し、16週後に73.3%の人が10%以下に乾癬を抑えることができた。また、これが48週まで持続することも明らかとなっている」と、多くの患者から効果が得られている薬剤なのだと説明していた。そして、森田先生と添川氏によるトークセッションが行われた。乾癬患者の添川氏は、「14歳の時に、乾癬と診断され、28歳の時には重症化。全身の皮膚に症状がみられ、高熱にうなされたり、倦怠感が続くなど、7年間入退院を繰り返した」と、汎発性膿疱性乾癬に罹患したのだという。「全身に毒々しい症状がみられる他、乾癬(かんせん)という病名であるため、感染症と連想されてしまう」と、乾癬は見た目がひどくなっていくのと、病名が紛らわしく誤解されやすいのだと訴える。「自分の体が周りにどのようにみられているのか、常に不安でネガティブになっていってしまう」と、周りの目を気にしてしまう病気なのだと話していた。「また、うつらない病気であるということを説明しなければならない」と、乾癬の認知度が低い点も、患者の負担になる大きな要因なのだと語っていた。また、数年ぶりに再発した際には、生物学的製剤で治療したという添川氏。「名称から、怖い薬とのイメージを持つ患者も少なくないが、効果が得られる薬剤であると認識している」と、再発後、生物学的製剤で治療したことで、乾癬の症状をほぼ抑えることができたと強調していた。最後に森田先生は、「乾癬患者は、前向きで明るい人が多いものの、20代で発症した女性などは非常につらい思いをしている。一方、働き盛りで発症した男性も、会社を休んでまでして病院に通うことを億劫だと感じているようだ。しかし、症状がみられる場合は皮膚科を受診し、治療法を理解した上で、前向きに取り組んでほしいと思っている」と、乾癬を治すためには、治療法の理解が不可欠なのだと話していた。添川氏は、「現在、様々な治療法が確立されてきたことで、乾癬の病状をコントロールすることができるようになってきた。それだけに、将来を悲観することなく、治療に前向きに取り組んでほしい。また、全国に20の患者会が存在するので、積極的に活用してほしい」と、乾癬患者は一人で悩まず、周りの患者の意見にも耳を傾けながら、治療を行ってほしいと話していた。
Wednesday, June 27, 2018
(エーブィエ バイオファーム) (II) ヤンセンファーマ、日常生活に多大な支障をきたす乾癬の負のサイクルを紹介、生物学的製剤という治療選択や新たな薬剤の登場について解説
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