産経新聞 8月5日(日)7時55分配信 風疹の報告数が多い都道府県(写真:産経新聞) 風疹の流行が拡大している。関西を中心に流行の兆しを見せていたが首都圏でも感染が広がり、全国の患者数は全数調査が始まった平成20年以降で過去最多を記録した。特に注意が必要なのは、妊娠初期の女性。感染すると生まれた子供に難聴や心疾患などの障害が出る可能性があり、厚生労働省も全国の自治体に、妊婦への感染を防ぐ対策を徹底するよう通知した。国立感染症研究所の集計によると、今年初めから7月22日までに全国で報告された患者数は776人で、前年同時期の約3倍。都道府県別で最多は、東京都の167人。兵庫県166人、大阪府160人と続いており、都市部で流行している。患者全体の約8割が男性で、20~40代が目立つ。かつて風疹の予防接種は女子に限定されており、この世代の男性は定期接種の機会がなかったり、接種率が低かったりして免疫のない人が多いためだ。家族や職場など周囲に妊娠中の女性がいることが多い年代でもあり、予防は欠かせない。ワクチンを2回接種しているか過去にかかったことがあれば、他人にうつすことはない。ただ、同研究所感染症情報センターの多屋馨子室長は「かかったことがあると思っていても、実際は風疹ではなく症状の似た別の病気だったケースがある」と指摘。予防接種を受けたかどうか、記憶があいまいな人も多いという。同研究所によると、医療機関では風疹の免疫があるかどうかを調べることができるが、免疫がない場合、自費だが大人でも予防接種を受けられる。妊娠を希望する女性も早めに受けたほうがよいが、ワクチンには病原性を弱めたウイルスが入っており、接種後2カ月は避妊する必要がある。すでに妊娠している人は雑踏を避け、家族ら周囲の人にワクチンを接種してもらうのが効果的という。多屋室長は「自治体が行う定期接種の時期にあたる人は夏休みを利用して受けてほしい。そうでない人も、妊婦にうつさないよう早めに接種して予防してほしい」と話している。
【用語解説】風疹 風疹ウイルスによる感染症で「三日はしか」とも呼ばれる。せきやくしゃみの飛沫(ひまつ)で感染が広がり、春先から初夏にかけて多く発生する。2~3週間の潜伏期間の後、赤い発疹や発熱、リンパ節の腫れなどの症状が表れる。子供の場合、症状は比較的軽いが、まれに脳炎などの重い合併症が起きることもある。大人は発熱や発疹の期間が子供に比べて長いケースが多いとされる。
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