「ALS=筋萎縮性側索硬化症」の患者から iPS細胞を作り、発症のメカニズムの一部を解明することに、 京都大学の研究グループが成功したそうで。研究を行ったのは、京都大学iPS細胞研究所の井上治久准教授らの研究グループ。これまでの研究で、ALS患者の約9割は、脳からの指令を筋肉に伝える運動神経の細胞内で、 遺伝子の働きの強弱を調節するたんぱく質「TDP―43」が変性し、蓄積することがわかっていたとのこと。井上准教授らは、全身の筋肉が萎縮し動かなくなるALS=筋萎縮性側索硬化症の患者の皮膚から iPS細胞を作り、脳の指令を筋肉に伝える運動神経に変化させたところ、 変性したTDP―43が大量に蓄積しているのを確認。その影響で、運動神経の突起部分が、健康な人より短くなっていたことを解明。このALS患者の細胞に、TDP―43の正常な働きを補うことで知られる4種類の化合物を加えたところ、 そのうちカシューナッツの殻から抽出した「アナカルジン酸」によって、 変性したTDP―43が減少、突起の長さも2倍になり、健康な人の細胞と同じ長さになったとのことで。ALSは運動神経が働かなくなることで発症することが分かっていますが、 これまで病態を再現することは難しく、新薬の開発は進んでいませんでした。井上准教授曰く「アナカルジン酸を治療薬に応用できるか、 今後、安全性や人への効果について慎重に調べていきたい」とのこと。
※筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは→運動神経が徐々に機能を失い、全身の筋肉が動かなくなる病気。これまで有効な治療法はない。難病情報センターによると、50~60歳代で発症することが多く、 国内には、約8500人の患者がいる。米国では大リーガーのルー・ゲーリッグ選手が発症したことから 「ゲーリッグ病」とも呼ばれる。
「ヒッグス粒子」の続報。 欧州合同原子核研究機関(CERN)が7月に発表した新粒子について、 実験グループの一つ「ATLAS」が新たな反応を確認し、 「ヒッグス粒子である可能性がさらに強まった」とする論文を31日に発表。新粒子がヒッグス粒子であれば、それが壊れる反応は5通りが観測可能で、 それぞれ頻度が異なると予測されており、このうち2通りの壊れ方が既に確認されていましたが、 今回、別の壊れ方一つを、ほぼ予測通りの頻度で検出。今後、残り2通りの反応についても分析し、最終確認を目指すとのこと。今度こそ本当に間違いがないのか。注目です。
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