Monday, July 23, 2018

乳がん治療薬リムパーザが問う 遺伝性がん診療の課題


(エーブィエ   バイオファーム)  2018/07/23アストラゼネカのPARP阻害薬「リムパーザ」が遺伝性乳がんの治療薬として承認されました。治療の前進という意味では朗報ですが、一方で家族への影響など遺伝性がんゆえの難しい課題もあります。一般の医師も巻き込んだ診療体制の整備が急務です。72日、アストラゼネカのPARP阻害薬「リムパーザ」(一般名・オラパリブ)が、国内で初めて遺伝性乳がんの治療薬として承認されました。リムパーザが対象とするのは、がん抑制遺伝子である「BRCA1」「BRCA2」に生まれつき変異のある患者。この遺伝子変異が見つかった米女優アンジェリーナ・ジョリーさんは予防的に乳房と卵巣を切除し、世界的に話題になりました。 BRCA1/2は「HBOCHereditary Breast and Ovarian Cancer)」と呼ばれる遺伝性乳がん・卵巣がんの原因遺伝子の1つ。変異は性別に関係なく50%の確率で親から子に受け継がれます。変異があるからといって必ずがんを発症するわけではありませんが、70歳までに乳がんを発症するリスクは50%前後。一般的な日本人(生涯で9%)と比べるとかなり高いとされています。 リムパーザは、損傷したDNAの修復を助けるPARP(ポリアデノシン5'二リン酸リボースポリメラーゼ)を阻害することで、がん細胞を死滅させる作用機序を持ちます。BRCA1/2遺伝子変異陽性の転移性乳がんを対象に行った臨床第3相試験「OlympiAD」では、化学療法(カペシタビン、ビノレルビン、エリブリンのいずれか)に比べて病勢進行・死亡のリスクを42%低下させました。 リムパーザの製品概要。製品名:リムパーザ錠100ミリグラム/150ミリグラム。一般名:オラパリブ。適応:・白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法。・がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん。用法用量:300ミリグラムを12回経口投与。患者の状態により適宜減量。薬価:100ミリグラム1 3996.00/150ミリグラム1 5932.50円。製造販売元:アストラゼネカ。提携:MSD(コ・プロモーション)。承認:181月(卵巣がん)/187月(乳がん)。


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