私たちの肌にはどんな影響があるの?神奈川県 横浜市/ しらゆり皮フ科・整形外科 院長 池田麻純 先生 私たちの生活空間には、燃焼で生じた煤煙や排気ガスなどの様々な大気汚染物質が浮遊しています。最近では、気象庁が黄砂の飛来状況について情報発信を行うなど、大気汚染への関心が社会的にも高まっています。近年特に問題視されているのがPM2.5。粒子径が2.5μm(2.5mm の1/1000、毛髪の直径の約1/30 程度)以下の非常に小さな大気汚染物質を指し、肺の奥深くまで入りやすいため、呼吸器系や循環器系への影響が懸念されています。健康への影響がクローズアップされやすい大気汚染ですが、実はこれらがアレルゲンとなり、肌にも悪影響を与えます。大気汚染によるアレルゲンが肌機能を低下させ、特に「敏感肌」の人にとっては大きなリスク要因となりがちです。
肌が大気汚染物質にさらされると、肌トラブルの原因「活性酸素」が過剰発生 バリア機能(角質層)が低下した敏感肌は、紫外線や大気汚染(外部刺激)によるダメージを受けやすい状態になっていますが、加えてそれらの外部刺激によって、『活性酸素(フリーラジカル)』が肌内部に発生しやすい状態になります。活性酸素は酸化力が強力な酸素のことで、本来は私たちの体を外部の刺激(細菌やウイルス)から体細胞を守ってくれる大切な役割を担っています。ところがその防衛力が強すぎるため、増えすぎると活性酸素の作用で肌細胞が酸化を引き起こし、細胞やDNA を傷つけてしまうのです。そのため、肌が大気汚染にさらされ続けると、肌を守るために活性酸素が過剰発生して酸化による肌ダメージが起こりやすくなります。
活性酸素が与える肌への影響 活性酸素は細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸と結びついて酸化させ、過酸化脂質という有害な物質を作りだします。過酸化脂質は細胞内部に浸透する性質があり、体内にとどまる時間も長いため体に害を与えやすく、細胞や組織を破壊したり、老化色素であるリポフスチンを作り、細胞の動きを止めてしまうと言われています。結果として、メラニン色素を誘発させてシミの原因となったり、皮脂の酸化による刺激でニキビの炎症を招いて悪化させたり、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワ、たるみ、肌の老化を促進します。
大気汚染物質から肌を守るためには?まずは活性酸素を作らせないこと、つまりアレルゲンである大気汚染物質から肌をしっかりと守ることが重要です。最近では空気中のアレルゲンから肌をブロックしてくれる機能性コスメも発売されているので上手に活用しましょう。食品の中に含まれるビタミンC やビタミンE などの抗酸化物質を摂取することも活性酸素をおさえるのに有効です。さらに、肌荒れやしみが目立つ、風邪をひきやすくなった、疲れがとれないといった症状がみられたら要注意。タバコやアルコールを控える、運動する、ストレスをためないなど、活性酸素を減らす生活術を心がけましょう。
神奈川県 横浜市/ しらゆり皮フ科・整形外科 院長 池田麻純 先生/ 患者様ひとりひとりにとってベストな治療を選択しひとつずつ親切・丁寧に対応していきたいと思っております。なかなか周りには打ち明けられないようなお肌のトラブルなどどんな些細なことでもお気軽にご相談ください。優しい雰囲気と空間の中でリラックスして治療を受けて頂けるよう、スタッフ共々努力してまいります。
皮膚の老化は、シワの増加と弾力の減少、色素沈着など様々な形で現れてくる。その最も代表的な老化現象の一つがシワである。シワが発生する原因は、大きく二つに分けることができる。加齢による自然の内的要因と外的要因による老化である。内的要因としては、フリーラジカルと炎症の発生、ストレス、細胞活性低下及び突然変異、細胞の代謝の不均衡などがあり、外的要因としては、紫外線、公害、病気、飲酒、喫煙などがある(非特許文献1参照)。皮膚は大まかに表皮と真皮に分けることができる。表皮のシワの発生原因としては、表皮細胞のターン−オーバーの減少により、角質層が厚くなり、角質層の水分の含有能力が減少し、角質全体が硬化してシワが生成される。表皮と真皮の境界部位は、表皮細胞の支持、接着、栄養物質の移動、表皮の分化の調節などに関与する。様々な老化の要因として、特に紫外線(UV)によってコラーゲンIV、VIIが減少し、表皮、真皮支持機能が減少し、選別透過機能が弱化して有害な成分が容易に皮膚に影響を及ぼすため、シワが生成されるのである(非特許文献2)。真皮は表皮の下にある結合組織から成り立つ組織で、細胞外間隙が広く、その間隙を細胞外マトリックス(ECM: extracellular matrix)と呼ばれる巨大分子の網状構造が占めている。ECMは、真皮内の繊維芽細胞から作られ、コラーゲン、エラスチンなどの繊維状のタンパク質とヒアルロン酸などの酸性ムコ多糖と呼ばれる多糖類で構成されている。ECMは、皮膚の弾力性、代謝、生気などに直接関与している。また、酸性ムコ多糖は、多量の水を保持し、栄養素、代謝産物、ホルモンなどを血管から組織中の細胞に浸透させる役目を果たす。したがって、ECMにおける酸性ムコ多糖の産生が促進されると、皮膚が生き生きするだけでなく、皮膚の新陳代謝が促進され、皮膚の老化防止が可能になる。また、繊維性タンパク質は、組織の形を維持、あるいは皮膚に弾力を与えるなどの機能を果たしている。そのため、ECMにおける繊維性タンパク質の産生が促進されると、皮膚に弾力を与えて、シワや小ジワが抑制される。このようなECMを産生する繊維芽細胞の活性が内的、外的な老化の要因、特に、UVによって低下すると、コラーゲン生合成性が減少して変性されたエラスチンが増加する。また、ECMを分解するマトリックスメタロプロテナーゼ(MMPs: Matrix Metalloproteinases)、特にMMP−1は、真皮の主成分であるコラーゲンI型を分解する。MMP‐1の増加によってコラーゲンなどのECM成分の分解が増加し、真皮内の紫外線によるキズが発生して、表皮−真皮の境界が破壊され、真皮の分解が加速化される。最終的には、皮膚の弾力性やみずみずしさ、生気が失われ、シワ、小ジワ、肌荒れが発生し皮膚の老化をもたらす一つの原因となる(非特許文献3)(非特許文献4)(非特許文献5)。上記のようなシワ発生の大きな要因であるコラーゲンの合成量を増加させ、MMP−1を阻害することにより、活気のある若々しい皮膚を維持するための方法を模索する試みがなされている。シワのないみずみずしい皮膚を維持するための最も重要な役割を担うコラーゲンを生合成させる繊維芽細胞の増殖と代謝を円滑にすることはもちろん、生合成を促進する成分を発見し、MMP−1を抑制する成分を有効成分にして、シワ、小ジワ、肌荒れなど皮膚の老化を本質的に防止し、安定性、安全性にも問題のない皮膚外用組成物を提供することである。